ここから、
バイト
高校に入学してすぐの春。
遼は、ある決意をしていた。
「自分の金で、自分の好きなことをしたい」
兄と比べられる家の空気に疲れ、
部活でも孤立し、
家にいても息が詰まる。
そんな中で、
遼は“自分の世界”を作りたかった。
遼は16歳に原付の免許を取った。
父は冷たく言った。
父「そんなもの取ってどうする。
勉強に集中しろ」
遼「……別にいいだろ」
母は心配しながらも、
遼の意思を尊重した。
母「気をつけて乗るのよ。
遼が決めたことなら、応援するから」
遼「……ありがとう」
家の中で唯一、
遼の味方でいてくれる存在だった。
免許を取った遼は、
すぐにピザ配達のバイトを始めた。
面接で店長に言われた。
店長「バイク乗れるなら助かるよ。
やる気あるか?」
遼「……はい」
店長「よし、今日からよろしくな」
遼は初めて、
“誰かに必要とされる感覚”を味わった。
配達の時間は、
遼にとって唯一の“自由”だった。
- 誰にも文句を言われない
- 誰とも比べられない
- 自分のペースで走れる
遼(心の中)
(……バイクって、こんなに気持ちいいんだ)
風を切る感覚。
エンジンの振動。
道路を走るリズム。
遼は、
初めて“自分の居場所”を見つけた気がした。
ある日の夕方。
雨上がりの配達帰り。
店に戻る途中、
遼はふと視界の端に“それ”を見つけた。
古いけれど、どこか温かい雰囲気のバイク屋。
店先には、
ピカピカに磨かれたバイクが数台並んでいた。
遼は思わず原付を止めた。
遼(心の中)
(……なんだ、この店)
店の奥には、
黒いレーサータイプのバイクが一台。
夕陽を浴びて、
まるで“呼んでいる”ように輝いていた。
遼は無意識に近づいていた。
遼「……かっけぇ……」
その瞬間、
遼の胸の奥で何かが“カチッ”と音を立てた。
ここから、遼の人生が変わり始める。
ピザ




