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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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40/50

翻弄

ざわつき

整備場には候補生たちの声と工具の音だけが響いていた。

今日の課題は キャブレターの分解・清掃・組み付け。

苦手な者には地獄のような内容だ。

その中で――

佐伯はキャブの前で完全に固まっていた。

佐伯は分解した部品を前に、

眉間に皺を寄せていた。

佐伯「このジェット……ここで合ってる?

いや違う? え、どっち……?」

相馬は横で自分の作業を進めながら、

ちらっと視線を向ける。

相馬「……佐伯さん、それ逆だよ」

佐伯さん「えっ!? ど、どこが!?」

相馬は工具を置き、

佐伯のキャブを覗き込んだ。

相馬「ほら、このニードル。

細い方が下になるんだよ。

向きが逆だと燃調が狂う」

佐伯さん「ほんとだ……!

なんで分かるの……?」

相馬「慣れ。

あと、形で覚えると楽だぞ」

佐伯は悔しそうに唇を噛む。

佐伯さん「……くぅ……悔しい……

私、整備だけは絶対負けたくないのに……!」

相馬「まぁ得意不得意はありますし。」

相馬「ここ、力入れすぎるとネジ潰すから気をつけて」

佐伯さん「えっ、そんなに繊細なの?」

相馬「キャブはな。

ほら、こうやって“指先だけ”で回す」

相馬は佐伯の手元に軽く手を添え、

力加減を示す。

佐伯さん「……あ、ほんとだ。

ちょっとの力で回るんだ」

相馬「そうそう。

整備は“力より丁寧さ”だよ」

佐伯は真剣に頷いた。

佐伯は工具を握り直し、

真っ直ぐ相馬を見た。

佐伯さん「……私、年齢も上だし、

みんなより遅れてる気がして……

でも、負けたくないの。

整備も走りも、全部」

相馬は少しだけ笑った。

相馬「遅れてるなんて思ったことねぇよ。

佐伯さん、努力量すごいし」

佐伯さん「……ありがと」

ひかりが見ていた(心の中)

(……なんであんなに優しいのよ)

自分でも理由が分からない。

ただ、胸の奥がじんわり熱くなる。

高梨「おーい白石、片付け終わったか?」

ひかり「……あ、うん」

高梨「どうしたんだよ、なんか機嫌悪い?」

ひかり「別に」

高梨「絶対“別に”じゃねぇだろ」

ひかりは思わず睨む。

ひかり「……ほっといて」

高梨「ひぇっ」

高梨は慌てて距離を取った。

相馬は佐伯さんのキャブを手に取り、

細かい部分を指差して説明している。

佐伯さんは真剣に頷き、

時々笑っている。

その雰囲気が、

ひかりには妙に“親しげ”に見えた。

ひかり(心の中)

(……なんで、あんなに楽しそうなのよ)

自分でも驚くほど、

胸の奥がざわつく。

自分でも答えが出ないまま、

ひかりは寮へ向かって歩き続けた。

胸の奥

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