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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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38/50

成長

アドバイス

学科テストの緊張から一夜明け、

コースにはまたエンジン音が響き始めていた。

今日は 走行訓練の日。

再び黒瀬と玲奈が見守る中、

6人はそれぞれの課題に挑む。


昨日の学科とは違う、

“走りの世界”が始まる。

遼はコーナー出口でアクセルを開ける瞬間を意識していた。

遼(心の中)

(コーナーからの立ち上がり……次は負けない!)

玲奈が後ろから声を飛ばす。

玲奈「遼くん、倒し込みは良くなってる!

あとは“準備”ができた瞬間に開けるだけ!」

遼「……分かってます!」

コーナー出口、遼は迷わずアクセルを開けた。

「ボォォッ!」

玲奈「いいよ、そのタイミング!」

遼は小さくガッツポーズをした。

ひかりはスピードが出ると、

ついアクセルを早く開けすぎる癖がある。

黒瀬「白石。

お前は“速くなりたい欲”が出ると開けが早くなる」

ひかり「……はい」

黒瀬「倒し込みの位置が決まってから開けろ。

“欲”じゃなくて“理屈”で走れ」

ひかりは深呼吸し、

コーナーへ進入する。

ひかり(心の中)

(焦らない……焦らない……)

倒し込みの位置を確認し、

そこからアクセルを開ける。

黒瀬「……よし。

それだ」

ひかりは思わず笑みをこぼした。

まどかは倒し込み前にアクセルを戻しすぎる癖がある。

玲奈「まどかちゃん、戻しすぎるとマシンが不安定になるよ。

1割だけ残して、音を繋げて」

まどか「は、はい……!」

まどかはエンジン音に集中する。

(落とさない……落とさない……)

「ボボボ……ボォォ……」

音が繋がったまま倒し込めた。

玲奈「そう! それが“残す”ってこと!」

まどか「できた……!」

ひかりは横目で見て、

少しだけ悔しそうに笑った。

(……まどか、伸びてる)

高梨「よっしゃあああ!! 今日こそ俺の走りを見せてやる!!」

黒瀬「……まず落ち着け」

高梨「はい!!」

黒瀬「倒し込みの位置が毎回違う。

アクセルの開け方も雑。

ライン取りも安定しない」

高梨「課題多すぎません!?」

黒瀬「全部だ」

高梨「全部ぅぅぅ!!?」

まどかは苦笑し、

ひかりは呆れ、

相馬は肩を震わせて笑っていた。

三浦は理論は完璧だが、

走りになると“考えすぎる”癖がある。

黒瀬「三浦。

お前は頭で走りすぎだ」

三浦「……はい」

黒瀬「倒し込みの位置を決めたら、

あとは身体に任せろ。

“考えるな、感じろ”だ」

三浦「……難しいですね」

黒瀬「難しいからこそ、やる価値がある」

三浦はコーナーへ入り、

考える前に身体を動かした。

三浦(心の中)

(……あ、できた)

黒瀬「その感覚を忘れるな」

成瀬は走りに大きな欠点がない。

だが――

玲奈「成瀬さん、もっと攻めてもいいよ?」

成瀬「わかりました!」

玲奈「落車のリスクもわかるけど攻めなきゃ」

成瀬は少しだけアクセルを開けるタイミングを早めた。

黒瀬「……よし」


玲奈は満足そうに手を叩いた。

「みんな、昨日より確実に良くなってる!

この調子でいこう!」

黒瀬も静かに頷く。

「走りは積み重ねだ。

今日の感覚を忘れるな」

6人はそれぞれの胸に、

新しい手応えを感じていた。









走り込み

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