勝負!
スタートライン
そして――翌朝。
空気はひんやりしているのに、
養成所のコースには妙な熱が漂っていた。
遼はマシンの点検をしながら、
昨日のことを思い返していた。
(……神谷、あんな真剣な顔で勝負しようなんて言いやがって)
そこへ、颯斗が静かに歩いてくる。
まどかとひかりも、少し離れた場所から様子を見ていた。
遼「……は?」
颯斗は淡々とした声で言う。
「昨日は榊さんに止められた。
だから今日は正式に申し込む。
相馬、勝負しよう。」
遼は工具を置き、颯斗を見上げた。
「お前……本気で言ってんのかよ。」
颯斗「昨日の走りで分かった。
お前は“伸びてる”。
黒瀬さんの言った倒し込みの位置、
玲奈さんの言った立ち上がりの準備――
全部、吸収してる。」
遼は思わず目を見開く。
(……こいつ、俺の走り見てたのか)
颯斗は続ける。
「だからこそ、今走りたい。
“昨日の相馬”じゃなくて、
“今日の相馬”と勝負したい。」
遼の胸に、静かに火がつく。
遼は立ち上がり、
颯斗の目をまっすぐ見返した。
「昨日の続き、やってやるよ。
俺だって――
お前に負けっぱなしは嫌なんだよ。」
颯斗の口元がわずかに上がる。
「それでこそ相馬だ。」
少し離れた場所で見ていたまどかは、
胸を押さえながら呟いた。
「……相馬くん、また勝負……」
ひかりは腕を組んだまま、
二人を鋭い目で見つめる。
(……あの二人、昨日より明らかに“走りたい顔”してる)
まどかは不安と期待が入り混じった表情で言う。
「でも……昨日より、二人ともすごく落ち着いてる……」
ひかりは小さく頷く。
「技術を覚えたからよ。
“勢い”じゃなくて“走り”で勝負できるようになった。」
まどかは息を呑む。
(……相馬くん、変わってきてる)
颯斗はコースの一部を指差す。
「昨日より少し長くする。
コーナー3つ抜けて、直線の終わりまで。」
遼「上等だ。」
颯斗「黒瀬さんの言った“倒す位置”。
玲奈さんの言った“アクセルの残し方”。
全部使ってこい。」
遼「お前こそな。」
二人は同時にヘルメットを被る。
空気が一気に張り詰める。
まどかは胸を押さえた。
(……相馬くん、怪我しないで……)
ひかりは静かに目を細める。
(……どっちが勝つか、見届けてやる)
二人はスタートラインへ向かった。
技術




