みんなの思い
焦り
榊教官の怒号が響き、
遼・高梨・颯斗の三人が“特別メニュー”として
外周ラン10周に飛び出していった。
汗だくで走りながらも、
三人はどこか楽しそうで、
互いに負けまいと必死だった。
その様子を、
少し離れた場所で見つめる二人がいた。
まどかと――ひかり。
まどかは胸の前で手をぎゅっと握りしめていた。
「相馬くん……大丈夫かな……
昨日も腕立て100回やってたのに……」
息を切らしながら走る遼を見て、
胸がぎゅっと締めつけられる。
(……無理して倒れちゃわないかな)
でも同時に、
走る遼の姿がまぶしくて仕方なかった。
(相馬くん……すごいなぁ……
あんなに怒られても、ちゃんと前に進んでて……)
颯斗も、高梨も、
みんな必死で走っている。
(私も……頑張らなきゃ)
まどかの胸には、
心配と憧れが入り混じった温かい感情が広がっていた。
ひかりは腕を組み、
三人の走りをじっと見つめていた。
その表情は冷静に見えるが、
胸の奥では複雑な感情が渦巻いていた。
(……相馬、昨日より速くなってる)
颯斗の後ろを必死に追う遼。
その姿に、ひかりは思わず眉をひそめる。
(あの子……桐生と話した後から、
なんか調子いいじゃない)
胸の奥が、
チクリと痛む。
(……なんで私がこんな気持ちになるのよ)
さらに、颯斗の走りを見ると、
別の感情が湧き上がる。
(神谷……やっぱり速い。
でも……負けたくない)
そして高梨の走りにも目を向ける。
(高梨まで……あの二人に食らいついて……
ほんと、油断できない)
ひかりの胸には、
焦り、嫉妬、悔しさ、そして闘志が混ざり合っていた。
まどか「ひかりさん……三人ともすごいですね……」
ひかり「……まあね。
でも、調子に乗ってるだけよ。」
まどか「えっ……そ、そうなんですか……?」
ひかりは視線をコースに向けたまま言う。
「桐生。
あなたも、あの中に入るつもりでいなさい。」
まどかは驚いてひかりを見る。
「わ、私が……?」
ひかりは少しだけ笑った。
「そうよ。
あなたが頑張れば……相馬も、もっと強くなる。」
まどかの胸が熱くなる。
(……ひかりさん、やっぱり優しい)
でもひかりの胸の内は――
(……相馬が誰の影響で強くなるかなんて、
気にする必要ないのに)
自分でも説明できない感情が、
静かに渦巻いていた。
遼、高梨、颯斗。
三人は息を切らしながらも、
互いに負けまいと走り続けている。
まどかは胸を押さえながら呟く。
「……相馬くん、頑張って……」
ひかりは静かに目を細める。
(……負けないわよ、相馬。
神谷にも……桐生にも)
二人の視線は、
同じ三人を見つめているのに、
胸に抱く感情はまったく違っていた。
渦巻く




