罰
しんどい
三人の走行訓練が終わった直後。
コースにはまだタイヤの焦げた匂いが残っていた。
遼は息を切らし、
高梨は汗を拭い、
颯斗は涼しい顔でマシンを降りる。
その三人の前に――
榊教官が、ゆっっっくりと歩いてきた。
その歩き方だけで、
全員が悟った。
(……あ、これ絶対怒ってるやつだ)
榊「貴様らァァァァァ!!」
遼「ひっ……!」
高梨「うわ、来た……!」
颯斗だけは眉一つ動かさない。
榊は三人の前に立ち、
地面を蹴るようにして怒鳴った。
「誰が“勝手に競争していい”と言った!!
昨日も言っただろうが!!
無茶な走りは死に繋がると!!」
遼「す、すみません……!」
高梨「いや、あの……その……」
颯斗は静かに言う。
「……走りの中で、限界を知るのは必要なことです。」
榊の眉がピクッと跳ねた。
榊「神谷ァ……貴様は黙ってろ!!
理屈は後だ!!」
颯斗「……はい。」
榊は三人を睨みつけ、
低い声で言った。
「相馬、高梨、神谷。
貴様ら三人には――」
三人「(ゴクリ……)」
榊「特別メニューだ。」
遼「……特別メニュー?」
高梨「なんか嫌な予感しかしねぇ……」
颯斗「内容を聞くまでは何とも言えませんね。」
榊はニヤリともせず、淡々と告げた。
榊「まずはコース外周ラン10周だ。
走行後の身体でやるから意味がある。」
遼「じゅ、10周!?」
高梨「死ぬって……!」
颯斗は無表情で頷く。
「了解しました。」
遼「お前、なんで平然としてんだよ!」
榊「次に腕立て伏せ100回。」
高梨「昨日もやっただろ!? なんで今日も!?」
榊「昨日やったから今日もやるんだ。」
遼「理不尽すぎる……!」
颯斗「……まあ、鍛えられるなら構いません。」
遼「お前ほんと強心臓だな!?」
榊「最後に――
倒し込み姿勢のまま静止保持、左右3分ずつだ。」
遼「3分!? 倒し込みで!?」
高梨「脚プルプルになるやつじゃん!!」
颯斗は小さく息を吐く。
「……これはさすがにキツいですね。」
遼「やっと人間らしい反応したな!」
榊「文句を言う暇があったら動け!!
お前ら三人は“走りたい”んだろうが!!
なら身体で示せ!!」
遼「……っ、はい!!」
高梨「やるしかねぇ……!」
颯斗「了解しました。」
三人は走り出す。
すでに足は重い。
息も荒い。
だが――
遼(心の中)
(負けねぇ……!)
高梨(心の中)
(相馬にも神谷にも置いてかれねぇ!)
颯斗(心の中)
(……この程度で折れるわけにはいかない)
三人の足音が、
コースに響き続けた。
三人が走り去った後、
榊は腕を組みながら小さく呟いた。
「……まあ、悪くない。
あいつら、いいライバル関係になってきたな。」
その言葉は、
誰にも聞こえなかった。
プルプル




