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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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24/50

見てくれてる…

期待

三つ巴の走行訓練が終わり、

コースにはまだエンジンの熱気が残っていた。

颯斗は無言でヘルメットを脱ぎ、

ひかりは淡々とマシンを整備場へ押していく。

遼も息を切らしながらマシンを降りた。

そんな中、

まどかは少し離れた場所で、

ヘルメットを抱えたまま俯いていた。

(……私だけ、全然追いつけてない)

その表情は、

普段の明るいまどかとは違っていた。

遼はふとその姿に気づき、

眉をひそめた。

(……桐生、なんか変だな)

遼はマシンを置くと、

まどかの方へ歩いていった。

「おい、桐生。」

まどかはびくっと肩を揺らし、

慌てて笑顔を作る。

「えっ、あっ……相馬くん。お疲れさまです!」

遼はその不自然な笑顔に、

すぐ違和感を覚えた。

「……どうしたんだよ。

なんか元気ねぇじゃん。」

まどかは視線を落とす。

「い、いえ……そんなこと……」

遼はため息をついた。

「嘘つけよ。

お前、分かりやすいんだよ。」

まどかは驚いて遼を見る。

(……ひかりさんにも言われた……)

まどかは小さな声で言った。

「……相馬くんたち、すごかったです。

颯斗くんも、ひかりさんも……

相馬くんも……」

遼「……ああ。」

「私……全然追いつけてなくて……

なんか……置いていかれちゃう気がして……」

遼は目を丸くした。

(……そんなこと気にしてたのか)

遼は頭をかきながら言った。

「バカ。

誰もお前を置いていかねぇよ。」

まどか「……え?」

遼は少し照れたように続ける。

「お前、昨日コーナー曲がれたじゃん。

あれ、すげぇことなんだぞ。

俺だって最初は転びまくってたし。」

まどかは目を瞬かせる。

遼はさらに言う。

「それに……

お前が頑張ってるの、ちゃんと見てるから。」

まどかの胸がじんわりと熱くなる。

「……相馬くん……」

遼はそっぽを向きながら言った。

「だからさ。

焦んなくていいよ。

お前はお前のペースで強くなりゃいい。」

まどかは、

ひかりに言われた言葉と同じだと気づき、

胸が温かくなった。

(……ひかりさんも、相馬くんも……

私のこと、ちゃんと見てくれてるんだ)

まどかは小さく笑った。

「……ありがとうございます。

私、頑張ります。

相馬くんの隣で走れるように……!」

遼は照れくさそうに笑う。

「お、おう。

期待してるからな。」

そのやり取りを、

少し離れた場所でひかりが見ていた。

ひかり(心の中)

(……また仲良くしてる)

胸の奥が、また少しざわついた。


ざわめき

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