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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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21/81

三つ巴

男

朝のコースは、まだ冷たい空気が残っていた。

だが、その空気よりも冷たく、そして熱い視線が交差していた。

遼。

颯斗。

そして、ひかり。

昨日のストレッチでの“妙な空気”と、颯斗の挑発。

それが三人の間に、見えない火種を残していた。

榊教官が声を張る。

「今日はコーナーと直線の連続走行だ。

無茶はするな。昨日みたいな真似は二度と許さん。」

颯斗が横目で遼を見る。

「聞いたか、相馬。

“無茶するな”だってさ。」

遼「お前が言うなよ。」

ひかりは二人のやり取りを聞きながら、

ヘルメット越しに小さくため息をついた。

(……また始まった)

だが、胸の奥はざわついている。

(相馬……昨日、桐生と楽しそうにしてたくせに……

神谷とまで張り合う気?)

押しがけでエンジンがかかり、

三人はほぼ同時にコースへ飛び出した。

直線で颯斗が一気に前へ出る。

颯斗(心の中)

(相馬……昨日の続きだ。

お前がどれだけやれるか、見せてもらう)

遼はアクセルを開け、必死に食らいつく。

遼(心の中)

(負けるかよ……!

昨日のストレッチでまどかに笑われたままじゃ終われねぇ!)

ひかりは二人の後ろにつきながら、

冷静にラインを読みつつも、胸がざわついていた。

ひかり(心の中)

(……なんで私までこんな気持ちになるのよ)

最初のコーナー。

颯斗は新人とは思えない深い倒し込みで鋭く入る。

遼も負けじと倒し込む。

ひかりは二人のラインを読み、

あえて外側からスピードを乗せて入る。

高梨がコース脇で叫ぶ。

「おいおい……あの三人、レベル違うぞ!」

成瀬「完全に火花散ってるな……」

まどかは手を胸に当てて見つめる。

「相馬くん……ひかりさん……颯斗くん……」

コーナー出口で、颯斗が遼に言う。

「相馬、遅いぞ。」

遼「言ってろ!」

遼はアクセルを開け、颯斗の後輪に食らいつく。

颯斗は少し驚いたように目を細める。

(……昨日より速い)

次のコーナーで、ひかりが遼の横に並ぶ。

ひかり「相馬、ライン甘い。」

遼「うるせぇ……!」

ひかりは遼の前にスッと入り、

颯斗のラインを追う。

遼(心の中)

(くそ……ひかりまで……!)

颯斗はひかりの存在に気づき、

少しだけアクセルを開ける。

颯斗「白石。

お前、相馬の後ろにいるより……前の方が似合ってるな。」

ひかり「当たり前でしょ。」

颯斗は笑う。

(……面白い)

三人は互いに譲らず、

直線でもコーナーでも火花を散らし続けた。

榊教官は腕を組みながら呟く。

「……あいつら、勝手に競争してやがる。

だが……悪くない。」

マシンを止めた三人は、

息を切らしながらも互いを見た。

颯斗「相馬。

昨日よりはマシになったな。」

遼「お前こそ……調子乗んなよ。」

ひかりは二人を見て、

少しだけ微笑んだ。

「……二人とも、悪くなかったわよ。」

だがその目には、

まだ消えない火が宿っていた。

(……負けない。

相馬にも、神谷にも。)

三つ巴の関係は、

この日を境に本格的に動き始めた。


女

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