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輝きが向かう場所  作者: 白髪銀髪


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なんでこんなに種類が用意されているのか

 そのライブの評価如何で、ツアーが開催されることは、まだ明言しないほうが良い。

 ほとんど決定しているとはいえ、まだ、取り消しになる可能性が、まったくないわけじゃない。 

 そして、こっちのほうが大きな理由だけど、そのことは次回のライブの終了後に大々的に告知される予定になっている。

 ここで先に話してしまって、記事として目に触れてしまうと、そのときの盛り上がりに欠けるからね。 

 盛り上がりは重要だ。

 現状を考えたなら、心配はいらないかもしれないけど、そういう精神状態のほうが、より売り上げが伸びるはずだから。

 売り上げが伸びるということは、今後の活動もより活発に行うことができるようになるということ。

 それに、私たちがツアーを成功させたとなれば、他のユニットも続いていくことができるということ。それは、私たちの仕事だけに限った話じゃないけど。『LSG』も、『iシナジー』も、『VIVID EDGE』も、どの仕事だって、『フレアスター』としての躍進に繋がっているから。

 

「次は、トレカの撮影だったっけ?」


 事務所で昼食をとってから、スタジオに移動。

 移動中の車内での奏音からの確認に頷いて返して。


「うん。今度のツアーで販売する、特別なグッズの」


 基本的にはスタジオで撮影して背景を合成する、ということだけど、最推しというか、これぞというカットだけは、現場で撮影するという形をとることになっている。

 トレカに限らず、ポスターとか、ジャケットとか。

 当日、現場で撮るのが、ステージ写真とか、オフショットとか。これは、事後通販になるかもしれないけど。

 それで、今から撮るのは、私服と、ステージ衣装に加えて、水着も。これは、ライブの場所が湾岸エリアだから、それに合った雰囲気の写真をということで、三人、似た感じの、セーラー服と水着を合わせたような、いわば、セーラー水着とでも呼んだらいいのか、そんな感じの格好だけど。

 実際、毎年、水着のときにはトレカの売り上げも若干多くなるようで、つまり、人気があるということだ。

 それはそれで、普段どおりのトレカの撮影で行うわけだから、それよりも特別感のあるようにということで、この格好が選ばれたらしい。

 セーラー服でも、水着でも、単体でも可愛いから、それを合わせたら、可愛いに決まっているよね。

 可愛い私たちが着れば、さらに可愛さ倍増、と。  

 さすがに、今回のライブを水着(あるいは、水着っぽい衣装)でする、みたいなことはない。楽しそうではあるけどね。

 ちなみに、普通の水着はこの前、事務所で皆で一緒に選んだ。私と奏音と琴音という意味じゃなくて、由依さんたちとかとも一緒にという意味で。イベント限定はセーラー水着だけど、イベント限定じゃない、毎年恒例のこの時期のグッズなんかに必要だからね。そもそも、グッズ以外でも、夏の撮影には使うことが多いから。

 セーラー服はもともと、水兵の衣装(制服)だったわけだし、このイベントでの品として違和感もないはず。

 赤いネクタイと、白と青を基調としている、というデザインは統一されているものの、短パンと合わせるもの、上下で分かれているもの、ワンピースタイプのもの、リボンも、ネクタイとべつにあり、色も青と赤の二種類用意されている。

 

「詩音はどれにする?」


「王道ならこれかな」


 金のボタンがあしらわれた、白地に青いラインの極半袖のシャツと、赤のネクタイ、青地に白いラインのミニスカート。ソックスはシャツと合わせた色合いの、オーバーニーソックス。

 

「じゃあ、私はこれにしようっと」


 奏音は、私と同じ感じだけど、ノースリーブのシャツに、青のネクタイ、白地に青いラインのミニスカート、同じ感じのオーバーニーソックス。ついでに、白に青いラインと碇のマーク、リボンのあしらわれた水兵帽子。

 

「なんでこんなに種類が用意されているのかしら」


 琴音は若干、呆れているというか、それとも、感心……しているわけじゃなさそうだけど。

 

「普通の水着だって、それこそ、たくさん種類があるでしょ。それと同じじゃない?」

 

 ここに用意されているのは、せいぜい、三種類。

 半袖シャツとノースリーブシャツ、ワンピースタイプのトップス系と、それに合わせるスカート、短パン。大まかに言えば、それだけだ。


「それは、コンセプトが違うからでしょう? 柄とか、色とかも。これは、全部、セーラー服と合わせた感じじゃない。柄も、色も」


 それは、上の意向としか。

 

「全員まったく同じ衣装より、若干違ったほうが観ていて楽しいし、嬉しいと思うよ」


「それはそうだけれど、だったら、普通の水着でいいじゃない」

 

 たしかに、準備したのは大変だと思う。

 運営が、という意味じゃなくて、水着の制作側が、っていう意味だけど。

 見ていて楽しい、という意味なら、全員違っているほうがさらにだし。 

 でも、一応、アイドルのライブのステージで着る衣装だからね。『VIVID EDGE』みたいな例外もあるけど、基本的には、お揃い(の雰囲気)の衣装がいいんじゃないかな。

 それに、普通の水着はイベント限定じゃなくて出すから、そこでより売ることができる、という、まあ、大人の事情みたいなところはあると思う。単純に売り上げが倍になる、とは限らないけど。

 

「そんなに突っ込まなくても。大丈夫、どれも可愛いから、きっと受けはいいよ」


「雰囲気を揃えつつ、違いを出すという趣旨自体は理解できるわ」


 前に、雑誌の撮影で、同じような水着で参加したことがあったけど、つまり、それなりに人気のあるデザインだということだよね。セーラー服というもの自体が。これは、セーラー水着だけど、派生という意味では、大きい括りは同じだし。

 それなら、これだけ、いろいろと取り揃えられていてもおかしいことはない、のかもしれない。

 

「おはようございますうわあ!」


 スタジオに入って挨拶をした瞬間、飛び込んできた光景に驚いて、目を見開いた。ついでに、声も上げた。 


「おはよう、詩音ちゃん。よく似合っているわよ。もちろん、奏音ちゃんも、琴音ちゃんもね」


「由依さんこそ、よくお似合いです」


 もちろん、六花さんも、純玲さんも、真雪さんも、皆さん、大変素敵な装いだ。

 残念ながらというか、『LSG』のほうは、セーラー水着じゃなくて、普通の水着だけど……いや、全然残念じゃないな。むしろ、嬉しいというか。

 仕事のためであって、これで一緒にオフに楽しみましょう、みたいなことではないんだけど、テンションは上がるよね。

 由依さんは白い三角ビキニタイプ。これは、毎年、似たような水着を選んでいるから、お気に入りなのかもしれない。王道だし。

 

「『LSG』も今日撮影だということは知っていましたけど、同じ時間で被るとは思っていませんでした」


 スケジュールには、大まかなところしか書いていないから。

 どうせ同じ撮影なら、一緒に済ませたほうが時間的にお得、という理屈はわかっても、嬉しいものは嬉しい。

 

「その水着デザインもいいわね」


 純玲さんは青の、モノキニと呼ばれるタイプ。

 見えている背中がセクシー。


「イベント限定のものなの? それで、普段のものを選びにきたということね」


 六花さんは紐を首の前で交差させた、クロス・ホルターと呼ばれるタイプのビキニ。

 それから真雪さんは、黒いビキニではあるけれど、ボトムスにスカートを合わせている。

 

「一緒に選びはしましたけど、実際にこうして撮影のためにと観てみると、いっそう、魅力が際立っていますね」


 

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