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輝きが向かう場所  作者: 白髪銀髪


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収録と、インタビューと、撮影と、ゲストと……

 私たちだけじゃなく、『フレアスター』全体でも、状況としては上向きだった。 

 たしかに、成長率という点で見れば私たちが一番かもしれないけど、『LSG』は音楽番組のレギュラーの座を獲得して、ファンクラブの設立まで計画されていた。

 ファンクラブに関しては、私たちももう一歩というところみたいだけど、まだ、設立には至っていない。

 加えて、ホールでのライブも決定しているらしい。もちろん、単独での。

 それから、『iシナジー』は、屋外での、ファンとの泊りがけの撮影会的なイベント。

 一泊二日で、練習風景の公開やライブはもちろん、撮影会とか、食事会とか、ゲームなんかの企画をしているらしい。

 ファンとの距離が近い交流会って、楽しそうだよね。ファン視点としては、当然、嬉しいものだし。

 デビューしたばかりの『VIVID EDGE』も、すでにセカンドシングルである『感情スパークル』の収録を間近に控えていて、その最終調整段階といったところ。 

 さらに言えば、三曲目も、まだ、タイトルとかは事務所内でも明らかにされていないけど、予定はすでに立っているとか。

 まあ、一番大変なのは、間違いなく、蓉子さんだけど。 

 レッスンの指導に関しては、ほかにも人がいてくれるけれど、マネージャー業務――一般的なアイドルのマネージャー業務については、蓉子さんが一人で受け持っているような状況だ。

 本人は、非常に充実している様子ではあるけど、私たちアイドルと同じように、裏の顔なんて見せたりしないはずだから、心配でもある。

 また、近いうちに、蓉子さんへの感謝を込めて、労わる会を開きたいところだけど。

 その点に関して、一番手っ取り早いのは、人を増やすことなんだろうけど、人事権なんてものは私たちにあるはずもないし、蓉子さんレベルの人材がそうそう見つかるはずもない。

 なんで、アイドルのマネージャー業なんてやっているのかが不思議な人だからね。

 それこそ、どこの一流企業でも、即戦力で働くことができるはず。

 でも、蓉子さん本人が大丈夫だと言っていて、実際に今まで問題はなにも起こっていないから、そこは信じることだ。むしろ、私たちになにかできるわけでもないから、信じるしかないというか。

 人の心配をしている余裕もないんだけどね、私たちも。


「おはようございます。よろしくお願いします」


 今日はこれから、音楽番組の事前収録があって、その後、雑誌のインタビューと、トレカの撮影と、ラジオのゲストがある。

 明日も学校があるわけで、早く帰りたいけど、そうも言ってはいられない。

 テストも近いから、隙間の時間には、テスト勉強を行う。赤点なんて取るわけにはいかないし、取らせるわけにもいかない。

 追試やら、補講やらにでもなったら、スケジュールがさらに大変なことになる。

 今はまだ、嬉しい悲鳴で済んでいるけど、これがただの悲鳴に変わったらことだ。

 自分自身のケアも怠ったりできない。


「詩音にそう言われると複雑」


「そうね」


 寝不足だと化粧のノリが悪いから、できる限り、睡眠時間はしっかり確保するように、とは言われている。

 ただ、私は今まで、化粧なんてほとんどされたことがないし、自分ではしたこともないから、気をつけろと言われても、家に帰って、食事や風呂やストレッチを済ませたらすぐに布団に入って寝る、というくらいしか思いつかなかったけど。実際、それが効果的なんだろうことは、養成所とかで話を聞いていれば、予想はできるし、女子の嗜みとして、知識はある。

 

「私だって、きちんと、ストレッチと、食事管理と、入浴と、マッサージとをこなしているから」


「普通は、詩音の倍くらいの時間と手間をかけて、自身のケアをしているんだけどね」


 私のケアに関しての手間暇なんて、どうして奏音に……何度もお泊り会とかをしているからかな。

 でも、それは、時間の問題じゃないというか、個人差が出るのは仕方がないと思う。

 はっと、奏音と琴音は我に返ったように。


「あっ、ごめん、詩音。いつも、この手の話題になるとつい」


「詩音が悪いわけではないことは十分、わかっているのだけれど」


「べつに気にしてないよ」


 いつものことだから。

 謝られたところで、私だって、どう対応するのが正解なのかわからない。

 事実を事実のまま話しているだけで、適当な嘘なんかも思いついたりしないし、そもそも、嘘をついても仕方のないことだし。

 奏音や琴音だって、世の中の人からすれば、羨ましい容姿をしていることは間違いないと思うんだけど……隣の花のほうがよく見えるとか、そういうことは言われるけど。

 羨ましがられているということなら、ありがとうとか、感謝でもしておいたらいいのかな?

 

「まあ、詩音は特技美少女だもんね。仕方ないか」


 納得したように頷く奏音。

 そうは言っても、二人も十分に特技美少女だよね。

 

「『ファルモニカ』さん。よろしくお願いします」


 声が掛けられて、私たちは頷き合うと、一緒にスタジオへと姿を見せる。

 今日歌うのは『ここにいる理由』。最新のシングルだし、まだ、リリース直後と言えるくらいのタイミングでもあるからね。

 しっかり、ここで歌って、良い歌だと思ってもらって、たくさんの人に購入してもらえたら、なお嬉しい。 

 パフォーマンスを終えて。


「素敵なライブをありがとうございました。去年の四曲も十分にすごいと思いましたけど、今年はこれですでに四曲目で、先日リリースされたばかりなのにもかかわらず、もう次の予定もあるとか。たくさんリリースされているのに、クオリティも、落ちるどころか、上がってきていますし。そうして、次々とリリースできるのには、なにか秘訣があったりするんでしょうか?」


 秘訣、と言われても。

 

「去年までは奏音と二人でしたけど、今年からは琴音が加わっているので、人数が増えて、考える頭も増えたことが理由でしょうか?」


 実際、琴音プロデュースの歌もあるわけで、そこは大きいところだと思う。


「詩音の頭の中がアイドルでいっぱいで、年々、それに磨きがかかってきているからだと思う」


「それは、磨きがかかっているというべきなのかしら……」

 

 それこそ、週刊連載の漫画家の人なんて、週ごとに新作を上げているようなものだし、二か月とか、三ヶ月くらいに一冊のペースで新刊を書き上げている小説家の人だっている。

 それに、私たちは、歌詞とかを考えているというだけで、メロディの元とかまで全部を全部、毎回考えて、作っているわけでもないからね……考えているときもあるけど。

 とはいえ、実際、良い意味で慣れてきているというところはあると思う。

 それを目指しての去年だったわけで、その成果をこうして表すことができているというのなら、狙いどおりというか。その慣れがないのに、今年、というか、ついこの数か月の間に慣れつつある琴音のポテンシャルはやはり高い、ということに間違いはなく、そういう意味で、あの人も、そういう人を見る目はたしかだということ。

 だから素直に褒められる、とか、そういうことでもないんだけど。もちろん、琴音に含むところがあるという意味じゃなくて。

 それはともかく。

 ついでに今度のイベントの告知、なんてことはしない。そういう場所でもないということもあるし、すでにチケットが完売しているというところもある。

 出番を終えたら、エンディングまで残るタイプの番組でもないから、速やかに退場して、次の現場に向かいつつ、補給や、メイクの微調整なんかも行って。

 

 

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