表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/48

5、復讐の神は少女を救う

一六時にも投稿しています。

まだの方はそちらからお願いします。

 ソータは、一度は挫けた心に鞭打って、魔法を使う。使うのは生命魔法だ。全力を以て、生命魔法を使う。

 この試みが成功すれば、神に勝てる可能性が生まれる。


 しかし、神に思考を読まれてしまえば、それを実行する前に封じられてしまうだろう。

 だから、生命魔法で命が燃えるスピードを上げる。心臓が超高速で脈打ち、脳に血が送られていく。寿命と引き換えに、瞬間的に自分だけが加速するのだ。

 これによって、当然のこと思考スピードが上がる。神に思考が読まれにくくなる上に、読まれたとしても手を打たれる前に魔法を完成させられる。


『お、おい……! まさかっ……!』


 少し、神が焦ったような声を出す。心を読んだのだろう。

 だが、ここまではソータの想定通り。ソータの魔法は既に完成していた。


 神は言った。ソータが、『唯一神に昇華できる可能性がある人間』だと。

 神は言った。ソータを従わせる為には、『神になる前に(・・・・・・)調教してしまえば良い』と。


 ソータは神に成れる。神にさえ成れれば、神に勝てる可能性が生まれる。

 神は傲慢だった。だから喋りすぎたのだろう。予想外のことが起きた時に対処が追いつかなかったのだろう。

 《勇者》と呼ばれる程の人間や、ファイヤードラゴンを手駒にできる程の実力者。その圧倒的な力が、神を傲慢にさせたのだ。


「……要するに……どう転んでも俺の勝ちだったってことだな……」


 魔力がソータを包み込んでいき、眩い光を放ち輝く。

 ソータは自分の体の変化を実感していた。

 明らかに、今までの力とは違う。

 脂肪魔法を開発した時にも同じような感覚を味わったが、力が溢れてくる感覚はそれを遥かに凌駕する。


『ま、まさか本当に成功するとは……』


 神ですら驚きを隠せていないことから、ソータがやったことは並大抵のことではないことがわかる。


 ――ソータは、神に進化した。


 神に勝てないのなら、自身も神になってしまえば良い。

 幸いにも、ソータにはそれを実行に移せるだけの力があった。

 ここまで復讐と共に積み上げてきたもの、これまでの過程がなければ、最終局面でひっくり返すこともできなかった。

 積み上げてきた力で、最後の復讐を終わらせる。


 脂肪魔法で神の体内の魔力を全てエネルギーに変換し、吸収する。神に成ったからか、脂肪魔法もより強力になっているのが実感出来る。

 全てを吸収し終えたら、得た神の力――世界魔法で神を神から人間に格下げする。


 世界魔法は、世界を構築するあらゆるものを好きに操ることができる。それは相手が同格である神でも変わらなかったらしい。あるいは、そういう使い方まで計算されて創られた魔法なのかもしれない。

 これでもう、恐れることはない。後は気の向くままに復讐を遂げるのみだ。


 ソータは、世界魔法で神――元神に『痛み』を付与してみる。

 これで、彼は常にこの痛みを抱えながら生きることになる。


「があああああああああああああああああああああああああああああ!」


 初めて彼の聴く肉声は、悲痛が込められていて、心地がいい。


 悲鳴を聴きながら、全ての苛めと復讐の記憶が、走馬灯のように頭の中を駆け巡った。言わば、復讐心の走馬灯。

 全ての苛めに対する怒りを一撃に込めて、ソータは魔法を放つ。

 放つ魔法は脂肪魔法だ。


「ぎやああああああああああああああああああああああああああああ!」


 未だに叫び続けている彼に、ソータは脂肪魔法を使う。

 ソータが脂肪魔法で蓄え続けていたエネルギーを脂肪に再変換し、彼に与えていく。

 全てのエネルギーが脂肪に変わった頃には、遂ぞ身動きすら取れなくなっていた。


 念には念を押して、ソータは世界魔法で彼の体内に二度と魔力が取り入れられることがなくなるようにする。

 元神はもう魔法を使えないし、その場から動くことすらできない。

 引き換えに、ソータは復讐の為に蓄えてきたエネルギーも、復讐の原因になった脂肪も、全てを元神に置いてきた。


 ――ソータの復讐は、終わりを告げた。


「あぁ、あぁ……。やっとだ……。やっとだ! ここまで長かった……」


 達成感に、ここで堰を切ったように涙が流れ始める。

 全てを捨ててようやく為した、祈願の復讐。ソータの心うちは満足の一言だった。


「いや……まだやらなきゃいけないことがあったな……」


 ソータは、神に成ったことによって使えるようになった世界魔法を使う。

 元神がソータを転移させた時のことを必死に思い出しながら、その魔法を駆使する。


 結果は予定通りだった。


「おかえり!」

「ただいま!」


 聞き覚えのある声が響く。風に金色の美しい髪が揺れる。

 ――ソータの胸元に、ルーシャが飛び込んでくる。

 気付いたら殺されていて、助ける為に悩んで、苦しんで、そして最後にようやく救うことができた少女。今、ソータはただただ彼女のことを愛おしく思う。


「悪い……。ルーシャ抜きで復讐全部終わらせた……」

「気にしないでいいわ……。そんなことより、助けてくれてありがとう……」

「あぁ……」


 告げるべき言葉を告げようと思い、照れくさくて言葉を飲み込む。

 けれど、ここで言わなければならないと思い、ソータはもう一度口を開く。


「好きだ。結婚しよう……」

「う、うん……!」


 ルーシャのはにかみを見て、やはり照れくさくなって、目を逸らす。


 復讐は終わった。

 だから、今度はこの少女と新たな、平和な人生を歩み始めるのも良いかもしれない。

 長年の目標が達成されて、ソータは戸惑うどころか、新たな未来への展望を既に広げていた。

次回、エピローグ。

二一時に投稿予定です。


新作も是非お願いします。

下記リンクから入れます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ