6、復讐の教室は同級生を襲う
周りの喧騒に目を覚ます。
既に授業は終了し、昼休みに突入した様子だ。
教室内を確認して、同級生が全員揃っているかを確認する。
その結果、クラスの誰もが暢気に雑談しながら食事を摂っていることが分かった。
宗太以外の全員が輪を作って飯を食っている。同級生同士の結束は固いようだ。
そんな中、宗太は音を立てて立ち上がる。
両親の時もそうだったが、これは中々に効果的なようで、突然の行動に同級生達は驚いている。
しかし、その驚愕は一瞬にして消え去り、彼らは皆一様に怒りを露わにした。
「ねぇ? みんなで楽しくメシ食ってんのがわかんないの?」
「アンタのせいで気分悪くなったんだけど? どうしてくれんの?」
「おいぃ? 聞ぃてんのかぁぁあ?」
ギャルや不良が、宗太に突っかかる。
彼らは、今までも散々宗太のことをいじめていた奴らだ。
――宗太は、嗤う。
ようやく、自身の力を解き放つことができる。
ずっと耐え続け、溜め続けていたその激情を、ようやく吐き出すことができる。
「無視してるんじゃねーよ!」
恐れを見せない宗太に痺れを切らしたのか、殴りかかってくる不良の男。
それを軽くいなしてカウンターで投げ飛ばす。
「うあああああああああああ!」
先程までの威勢はどこにいったのか、無様な悲鳴を響かせながら吹き飛んでいく不良。
その結果を見届けると、宗太は魔法を使う。
使う魔法は、物理魔法だ。糸を張り巡らせるようにして、教室全体に魔法で干渉する。
不良の攻撃を躱した為、周りが緊張感に包まれる。
本来ならば男の攻撃一発で沈む筈だった宗太が、あろうことかカウンターを決めたのだ。
否が応でも周りは警戒しなければならなくなる。
「っ! てっめぇぇえええええええええええ!」
予想外の一撃を食らった男は、すぐに立ち上がると、怒って勢い良く走り込んでくる。
その気迫は凄いが、異世界で生活していた宗太からしてみれば恐れる程のものでもない。しかも、攻撃自体は単調で流しやすい。
宗太は脚を伸ばして腹を蹴り飛ばす。その瞬間、衝撃と共に男が宙を舞った。
「がああああああああああああああああああああああ!」
二度、無様な悲鳴を上げながら吹き飛んでいく。
そして、ドサッという音を立てながら地面に体をぶつけ、そのまま意識を失う。
それと同時に、宗太はようやく張り巡らせていた魔法の準備が整ったことを悟る。
次の瞬間――教室が暴れた。
壁と床が歪み、机と椅子が飛び交い、蛍光灯と黒板は砕け散る。
「きゃああああああああああああああああああああああ! 何!? 何なのよこれ!」
一瞬にして、教室は混沌の渦中へと誘われる。
あちこちから悲鳴が上げられ、粉砕音が宙を舞う。
しかし外から様子を見にくる者はおらず、それが更なる不気味さを醸し出している。
ついさっきまで見下した表情で突っかかってきていたギャルも、今では周りの女子達と同じようにパニックになっている。
宗太はそのギャルに向けて、魔法で操った机を発射する。
次の瞬間、ギャルの腕が――机と同じ速度で飛んでいった。
どこまでも深い紅色が飛散し、周りで怯えながらも成り行きを見守っていた同級生達の全身を、染めていく。
生暖かい、鮮血。
口中に広がる、鉄の味。
視界を汚す、深く禍々しい紅。
それらが周りの恐怖を煽っていく。
誰もが、恐怖のあまり何も言えない。
「う、うああああああああああああああああ!」
最初に叫び声を上げたのは、意外にも気絶から目覚めた不良だった。
誰もが思考停止していた中、目を覚ましたばかりだった彼だけが、逆に正常な反応を示せたのだろう。
そして、それを皮切りにして、次々と悲鳴は響き渡っていく。
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「きゃ、きゃあああああああああああああああああ!」
「なあああああああああああああああああああああ!」
宗太が第二射を放つ。
誰かの脚が吹き飛んだ。
宗太が第三射を放つ。
誰かの腕が吹き飛んだ。
机や椅子が飛んだ数だけ、腕や脚が飛んでいく。
血が教室を紅く染め、人々は痛みに喘ぐ。
誰もが絶望の涙を零し、苦痛の血を流し、炎熱の汗を溢れさせる。
しかし、死ぬことはない。
宗太がそのようにコントロールしているのだから。
悲鳴、慟哭、懺悔……。
悦楽、快感、感謝……。
数々の音が、様々な気持ちが、教室の中でいつまでもハーモニーを奏でていた。
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そして、両親、教師、同級生と続けてきた、地球での復讐はラストスパートに入る。
わざわざ殺さないでおいたのは、ここでさらに無様を見る為だ。
宗太はペロリと、血の付いた頬を舐めて――笑った。




