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8、明かされた真実

すみません、前回のあとがきで「次回から復讐回」とか言ったと思いますが、入れませんでした。


次回は絶対に復讐回なので、許してください。(ブクマ外しが怖い人)


それでは……

 ルーシャが目を覚ました気配がし、ソータは復讐の時が近付いてきているのを感じ取る。


「ん……んん……」


 ルーシャはしばらくもぞもぞと体を動かしていたが、やがて手足を固定されたこの状況を理解したのか、眼光鋭く周りを見渡す。

 そして、寝た振りを続けていたソータは、あたかも今起きたかのような素振りを見せながら、うつ伏せの状態から頭を上げる。


 目に映ってきた光景は、予想していたものと同じだった。

 そして、そこに居た人物も予想通り――《聖女》シエットとローズ、それに宗教団体の中で最も高齢の人物だ。


「ようやく起きたのね、ソータくんにルーシャ……」


 呟いた聖女の声に、ようやくルーシャは彼女を見つける。

 その瞬間の変わりようは凄まじかった。

 目を見開いた後、それをキッと細める。ギリギリと唇を噛み締め、その端から怒りを体現するような真紅の血液をポタポタと垂らす。


 一瞬にして、彼女は復讐者へと成った。


「シエット! 殺す! 絶対殺す!」


 ルーシャは手足の拘束が解けないと分かると、即座に転がって聖女の方へと向かっていく。

 しかし、それが聖女へと届くことはない。

 それを見たソータが、同じく転がっていって行く手を阻んだからだ。


「ソータ! 邪魔しないで! あたしはシエットを殺さなきゃいけないの!」

「止めておけ。この衝動に身を任せて復讐を遂げたところで、後悔しか残らない」


 復讐とは、楽しむものだ。

 それはソータが信条にしていること。


 衝動と復讐心に動かされてその復讐を遂げても、それを楽しむことはできない。

 後に残るのは後悔だけであろう。その復讐を思い出した時に感じるのは、空虚感だろう。

 そんな復讐、する意味はない。


「だけど! あたしはこいつが憎いの!」

「落ち着け、復讐なら後でできる。価値のない復讐は我慢しろ。後で待ってる楽しい復讐の為だ」


 聖女は、その会話を愉快そうに見ている。

 ソータとルーシャが自分に復讐心を抱いていることを理解した上で、それを叩き潰せる絶対的な自信を持ち、嘲笑っているのだろう。


「だけど!」


 ソータは、尚も抵抗しようとするルーシャに、無言の圧力を持って抵抗する。

 ルーシャは、その本気の眼にようやく、冷静さを取り戻す。


「……分かったわ……ありがとう……」

「あぁ……」

「――で? 話し合いは終わったの?」


 そして割り込んでくる聖女。

 ローズ達二人は、聖女に従うようで、黙って成り行きを見ている。


 ソータは、聖女を無視してルーシャに話し掛ける。


「索敵魔法で、あの二人以外に宗教団体のメンバーが居ないか探してくれ」

「分かったわ」


 ルーシャはすぐに言う通りにする。

 その間、ソータがするのは聖女との会話だ。

 必死に怒りを抑えながら、話し掛ける。


「で、愛しの勇者様はどこに行ったんだ?」

「ブラックなら、神様の命令で出掛けてるわ」

「ハッ、最強の勇者様と聖女様が揃って宗教落ちか。滑稽だな」


 聖女の顔が、醜く歪む。

 それは、嘲りであり、侮蔑。


「良いことを教えてあげるわ。わたしがあなたと付き合ってあげたのも、ルーシャと友達になってあげたのも、ブラックがあなたの友達になってあげたのも、ルーシャの彼氏になってあげたのも、村人達が全員あなた達に酷い対応をしていたのも、全て神様の命令よ」


 強烈なカウンターを食らわせられた。

 それは、あまりにも衝撃的な事実。

 しかし、ソータはその情報を鵜呑みにはしない。

 いや、できないと言うべきか。鵜呑みにしてしまったら、頭がこんがらがって、復讐どころではなくなってしまいそうだ。


 思えば、そう推測できるだけの材料はあった。

 両親は、死ぬ寸前に神の名を出していた。

 それに、太っているというだけであの扱いというのは、あまりにも納得がいかない。


「なるほどね……」


 ルーシャが魔法で周りの状況を把握したのは、ソータがそう呟いたのとほぼ同時だった。


「宗教団体は、全員いるわ。けど、勇者っぽい強い反応はないわね」

「あぁ、ありがとう」


 ソータは感謝を述べながら、余計な思考を脳の隅に追いやる。

 そして、二度ふたたび聖女に向き合う。

 聖女は、不思議そうに首を傾げていた。風魔法で音を攪乱している為、会話は聖女の耳に入っていないのだ。


「おいシエット」

「何?」

「お前は――」


 ソータは、魔法を使う。


「――後回しだ」


 途端に、聖女の脂肪が膨らむ。

 その重さに、聖女は歩くことができない。

 それどころか、立つことも出来ずに床に転がる。


「どういうことよ……」

「お前らに対する復讐心が、俺を強くしたってだけだ」


 当然、魔法を使えるようになる前のソータは弱かった。

 だからこそ、聖女はソータのことを舐めていた。

 自分すら知らない未知の魔法を使ってくることは、完全に予想外のことだったのだろう。


 ソータは、驚いている聖女を横目に、手錠と足枷を壊す。

 物理魔法で、急激に酸化――錆びさせたのだ。ローズ達を囲んでいた盗賊達のナイフにしたことと同じことをしただけである。

 鉄製の拘束具は、ソータに対して意味を為さない。


 一方、ルーシャも、生体魔法で自らの筋力を上昇させて、力ずくでその拘束を打ち破っていた。

 聖女がその姿を見て、明らかに引いている。


 そしてソータはローズ達の足元に空間魔法で穴を空け、それを他の団員達が居る部屋に繋げる。ローズ達はそこに吸い込まれていった。

 さらに、自分達にも同じことをし、ワープする。


 団員達は、唐突の出来事に、驚いた顔をしている。


 ソータは、その驚愕が絶望に上書きされる未来を思い描き、気分を踊らせた。

何故かここ数日PVが伸びています!

本当にありがとうございます!

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