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7、侵入者の正体は――

ブックマーク100件です!

ありがとうございます!

減らないようこれからも頑張っていきますので、解除しないで頂けると嬉しいです。

 ソータは寝ていた。

 食事を終えてしばらくゆっくりした後、宿に備え付けられた風呂に入ると疲れがドッと出てきたので、早々に床に着くことにしたのだ。


 そして深夜。ソータは目を覚ます。

 知らない気配を感じ取った為だ。

 いくら疲れていようとも、警戒は常にしている。

 本来は索敵魔法を使うことのできるルーシャの仕事だが、彼女一人に任せておくのは心配なのだ。

 実際、彼女は今もまだ、この気配に気付かずに寝ている。


 ソータは、その気配に気付かずに暢気に寝ているフリをしながら、警戒を強める。


 気配が徐々に近付いてくる。

 ルーシャはこれだけ近付いてきても起きる気配がない。索敵魔法を本当に使用しているのか、疑ってしまう。


 ソータはこの後の対応を考える。

 ここは捕まっておいた方が早いかもしれない。

 ソータとルーシャの力を持ってすれば、何をされたとしても大概は脱走出来るだろうし、相手を殺すこともできるかもしれない。

 ならば、自分達を狙う相手が誰なのかを突き止めておいた方が、後で楽だ。


 日本に比べると、この世界のセキュリティは甘い。

 特に魔法などを使わなくても、音を立てずに部屋へ侵入するくらいはできる。


 案の定、相手は音を立てずに窓を外して入ってきた。

 ソータは寝た振りを続ける。

 そして、空間魔法と風魔法を使って侵入者の動きを確かめる。

 その顔は、仮面が付けられていて見えない。体も服に覆われていて、性別すら分からない。


 侵入者はソータを一瞥すると、まずはルーシャの近くにしゃがみ込んだ。

 暫くすると、ガチャンという音が部屋に響き、ルーシャの手首に手錠が嵌められる。更に、足首にも。

 そして最後に魔法が使われる。


「あ……く……」


 ルーシャが苦しそうな声を出し、みるみるうちに生気が失われていく。

 恐らく生命魔法だろう。

 それも、この吸収速度から見るに、相当な手練れだ。


 それが終わると、視線はソータに向けられる。

 意識を奪われて動けなくなるのは少々心配だが、ルーシャが生かされている以上、殺される心配はないだろう。

 ここは大人しく相手の思惑に乗っておくことにする。


 侵入者は手錠と足枷をソータに付ける。

 さらに、生命魔法で生気を吸われる。

 その時に漏れ出た侵入者の魔力はどこまでも濁り、そして……ソータは、その魔力に懐かしさを感じた。


 意識が薄まっていき、暗転する――


 ――目はすぐに覚めた。

 寝ている間の時間というのは、早く流れるものだ。


 ソータはすぐに周りの気配を探る。

 勿論、索敵魔法を使える訳ではない。

 だが、精度は索敵魔法ほどではないものの、風魔法と空間魔法を複合することによって、その場の広さや物の配置などはある程度把握することができる。宿でやったことと同じだ。


 結果、ここにいる人の数は四人、広い聖堂のようなところだということが分かった。

 四人のうち一人はソータと同じように転がされている。恐らくルーシャだろう。


 それ以外の三人が会話をしている。

 ソータはそれを盗み聞きする。


「この素質値、ようやく見つけたわ」

「えぇ、ようやくこれで我が神の役に立てます……」

「それにしても、ソータ殿がこんな素質を持っていたなんて予想外でしたわ」

「わたしからしてみれば、豚がこんながこんな素質を持っていたことも、豚がいつの間にか痩せていることも、豚がルーシャと一緒にいることも、全てが予想外だわ」


 ソータはその声を聞いて驚く。

 三つとも、聞き覚えのある声だ。

 一つは忘れようもない、恨めしい声。

 後の二つは、先日聞いたばかりの声。


 そう――《聖女》シエットとローズ、もう一人は宗教団体の中で最も高齢だった女性だ。

 話の内容からしても、それは間違いないだろう。


 ソータは、聖女が宗教団体と関わっていたことと、聖女がわざわざソータを誘ったこと、この二つに驚く。


 そして、それと共にふつふつと怒りが沸いてくる。

 自分を攫ったことと、自分のことを立て続けに豚、豚、と罵ったこと。攫われたのはわざととはいえ、やはり怒りは沸いてくる。


 もしかして、あの宗教団体は聖女の言いなりなのか。

 狙って、ソータ達を陥れたのだろうか。


 そうだとしたら、復讐をしなければならない。

 ソータは、自分の身を脅かす存在を決して許さない。

 数日間に渡る同行で、ローズ達にも親愛の情は多少ながら湧いてきていた。

 だが、復讐と自分の身が第一だ。

 それを脅かすやつは、それが誰であろうと許さない。


 ソータは決める。

 ルーシャが起きたら復讐をしよう。

 もしこのまま泳がせておけば、勇者の行方も探ることが出来るかもしれない。

 しかし、もう耐えられそうにない。我慢できない。

 只でさえここまで、長年聖女相手には怒りを溜め続けてきていたのだ。

 これ以上お預けなんて有り得ない、そうソータは思う。


 ローズ達を前菜に、そして聖女をメインにして嬲ってやる。


 ソータは密かに、ほくそ笑んだ。

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