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4、商店街に行って、買い物を(本当に)した。

ハーメルンとアルファポリスにも掲載しました。

そこから来てくださった方、ありがとうございます!

 ドラゴンの討伐証明部位である角をギルドの受付嬢に提出し、規定の報酬を受け取る。

 受付嬢も、ソータとルーシャが依頼を達成して帰ってきたことには心底驚いた様子だったが、帰ってきた以上今更誤魔化すつもりはないらしく、大人しく報酬を出してくれた。

 他の冒険者達はつまらなそうな顔をしていたが、前のように煽られたり、あるいは襲いかかられたりということはなかった。


 そして遂に得られた金の音を鳴らしながら、道を歩く。

 あれだけの難易度の依頼を達成したのだ。当然ながら、必要なものを買い揃えるくらいの金はある。


「さて、まずは何を買うか……」

「あそこに売ってる食べ物とかどう?」


 ソータの独り言に、ルーシャが間髪を入れずに答える。

 果たして、ルーシャが指す方向には、かき氷があった。

 魔法があるこの世の中なら、水を凍らせておくことも簡単なのだろう。


「俺は王都までの道のりに必要なものの話をしてたんだが……。まあ、お金はあるし良いか……」

「何味にするの?」

「えーっと? 肉汁? 山菜の茹で汁? ん??」


 ソータは地球でのかき氷を振り返る。

 確かにそんなものは使われていなかったはずだ。


「やっぱりやめておこう。今度俺が物理魔法を使えるようになったらかき氷をつくってやるから……」

「え? ソータが物理魔法を練習してるって話は初めて聞いたわ」

「今決めたからな」


 ソータは、ルーシャにソータと呼ばれることを新鮮に思いながら、堂々と言い放った。

 時が止まったのかと思うような静寂が、二人の間を抜ける。


「そんなすぐに習得できると思ってるの?」

「あぁ、脂肪魔法は七割くらい物理魔法の応用だからな。それに、いろいろな知識もある」

「いろいろな知識?」

「あぁ」


 勿論、日本で学んだ知識だ。

 現代知識を活かせば、魔法もいくらか簡単になる。


「そこまで言うのなら良いわ。必要なものを買い集めることにしましょう」

「そうだな……取りあえず、食料か……」


 二人連れたって街を練り歩く。


「これ美味しいな」

「冷たっ! けど、こんなの初めて食べたわ! 美味しい……」


 アイスクリームが売っていたことには、ソータも驚いた。

 日本のものほど美味しくないし、味も薄くて物足りなかったが、これは仕方がない。

 機械なしでアイスクリームを作るのは、かなり手間が掛かりそうだ。しかも、作り方を発見することも難しい。

 異世界に来てアイスを食べられたことは、ソータにとって感動的な出来事だった。


 その他にも様々なものを食べながら歩く。

 見たことがないものから懐かしいものまで、たくさんのものが売っている。

 この周辺には海がないので魚介類こそ売っていなかったものの、その他はバリエーションが豊富で、ソータとルーシャは楽しんで食事をした。


 そして、ようやく道中に食べるものを購入する。

 干し肉や堅パンなどだ。

 決して美味しくはないが、一々狩りをするのも面倒だし、王都に近付くに連れて動物や魔物も減っていく。

 ここで保存食を購入しておいた方が、後でラクなのだ。


「――で、買ったは良いが……どうするんだ? 全くこれを持ち運べる自信がないんだが……」

「あたしもよ……。ここまで歩くだけでもつらかったのに、こんな重いもの持って運べるわけないわ……」


 基本的には強気なルーシャも、今回ばかりは弱気になっている。


「あたしの生体魔法で持ち運ぶのも無理だし……」

「脂肪魔法があれば大体どうにかなるが、常時発動となると流石に負担がなぁ……」


 頭を悩ませるソータとルーシャ。

 しばらく考え込んだとき、ルーシャがソータに言う。


「アンタ……物理魔法を極めるって言ってたわよね……」


 なるほど、空間魔法を使えば、常時発動しなくても持ち運ぶことができる。

 ただ、空間魔法で歪めてできた別空間にしまっておけば良いだけの話なのだから。


「だけど……流石に一日で習得するのはつらくないか?」


 打開策を考えているうちに、ソータの頭の中にはエネルギー操作によって空間を歪ませる方法を思いついた。

 しかし、失敗すると、最悪世界が滅びる可能性もある。

 そうするとやはり物理魔法を習得する他ない。


「仕方ないか……」


 街の外に出る。

 街に入った場所だと遠いので、今度は商店街――商業区画から程近いところからだ。


 ここは最も人の往来が激しいところである。

 流石に、人に特訓風景を見られるのは憚られるので、ソータは脂肪魔法で光をねじ曲げて、強引に自分達の姿を周りから見えないようにした。


 ソータは思う。

 ――丁度良い、と。

 ここで物理魔法を極めておけば、冒険者達や両親への復讐にも役立つだろう。

 復讐の為だと認識した瞬間、力が漲ってきた。

 今ならやれる気がする。


 そして、ソータの物理魔法の特訓を始めた。

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