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お兄様が入国されました ~長男編~

【白媛】

才夏国 侯爵家令嬢 母は王妹

国王夫妻の勧めで、帝国に留学中

借り住まいの皇城の庭園で、蛇姿の皇子を助けた。

皇子妃回避のため、策を練っている最中。


【緑華】

英華帝国 第4皇子

もうひとつの姿は 碧色の美しい蛇

白媛を皇子妃候補として婚約した。


【青夏】

才夏国 侯爵家 長男 次期侯爵

次期宰相候補

白媛が可愛いくて仕方がない

男性だが、たおやかな美貌のヒト

 蛇皇子との婚約なんてイヤだ。


 蛇なんて大嫌いなのに。

 何であの時、助けてしまったのだろう。


 困り果てた私は、おにいさまに 助けて欲しいと連絡した。





「お兄様!」「白媛!」


 ひしっ、と抱きしめあったあと、お兄様がはらはらと涙をこぼした。


 皇帝陛下との謁見を済ませたお兄様は、その足で来てくれたのだ。



「大丈夫だったかい? どうしてこんなことに 」


「ごめんなさい、お兄様」


「いや、いいんだ。おまえは、優しいからな。蛇とはいえ、見捨てることなど出来るわけがない」



 兄は次期宰相候補と期待されている優秀な人だ。

 その兄が、はらはらと泣く姿は妹の私から見てもとても美しい。


 美しいお兄様は私にとても甘い。連絡を受けて、すぐに駆けつけてくれた。



「おまえは、この婚姻を望まないのだろう?」


「もちろんですわ。蛇の嫁など御免です!」


「しかし、どうしたものか」


 2人で頭を悩ませていると、来客を告げられる。




「青夏殿? お初にお目にかかる。緑華だ」


「お会い出来、光栄にございます。皇子殿下」


 来客は側近を引き連れた皇子殿下だった。

 お兄様は、まったくもって嬉しくないという顔をして、挨拶を返す。



「殿下。恐れながら、此度のことは殿下の甘さにも非があったと思われます。それを可愛い妹に咎があるとされるのは、いかに皇子殿下といえど非道ではございませんか?」


「何だと?」


 殿下の側近達が剣に手をかけた。

 それを殿下に制止され、不承不承引き下がったが、不満なのが透けて見える。



「皇室の方々が蛇のお姿をとられることは、帝国皇室と高位貴族の方々の秘事だと伺いました。

 それを、留学したばかりの妹が存じ上げるはずもございません。そもそも秘事でありながら、蛇のお姿で迂闊に庭に出られた殿下にこそ、咎があるのではございませんか?」


 妹思いのお兄様は、怒り頂点ですと言わんばかりに捲し立てた。



「貴様!不敬だぞ!」


 側近達が青筋をたてて怒っている。

 お兄様が断罪されたら、どうしましょう。



「そなたの言い分もわかる。だがな、あの時私は刺客に襲われ、身を隠さなければならなかった。あえて蛇の姿になっていたのだ。仕方あるまい?」


 暗殺されかかっていたことを、些事のように平然と口にして、殿下は笑った。



「ならばなおのこと、妹に罪はないではありませんか!」


「しかしな、そなたの妹は受けると申したぞ」


「は?!」


「開戦か、婚姻かと問うた私に、そなたの妹は婚姻を受けると申したのだ」


「白媛?」


 お兄様が、綺麗なお顔をこちらに向ける。


「……致し方なかったのです」


「此方としても才夏国との戦は望まぬ。一度受けておきながら、なかったことにするとは言うまいな?」


「………国に持ち帰らせていただきます」


 兄は顔をひきつらせて引き下がった。





 皇子殿下が側近達と戻っていくのを見送ったあと、お兄様はガックリと腰をおろした。



「白媛? なぜ兄に相談もなく受けたりしたのだ?」


「申し訳ありません。相談したいと申し上げたのですが、開戦かと問われまして……」


「国王陛下と父上に相談してみよう」



はあぁ、と溜め息をついて、お兄様は帰っていった。






その夜 某所のひとりごと。


「さすが皇子、手強い」


お読みいただき、ありがとうございます。

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