最悪だ……
実川さんの攻撃?開始。
「私も入れて!」
……放課後。
実川さんは現れた。
胸には、リュックを抱えて──
「えっと……料理研究部だよね?」
唐崎さんが、思い出したように言う。
野上さんも、ああ。というように頷く。
創也だけが、誰だ? というようにいぶかしんでいる。
「そうです。実川ゆずる。よろしくね!」
「実川さんね、よろしく」
「よろしく」
と野上さんと唐崎さんは笑う。
創也は、まだ受け入れられないのか、頭を下げてすぐに課題に取りかかってしまった。
「私もいいかな? わからないところがあるの──」
とちゃっかりおれの隣に机をくっつけて座る。
ちなみに右に野上さん、その前に唐崎さん。おれの前に創也。で、左には実川さんがいる……。何この形……。
とりあえず、勉強が始まった。
創也と唐崎さんは、二人で英語をやっている。
野上さんとおれは、わからないところが出てきたら訊きあうというやり方で進めていた。
「ねえねえ、これどう解くの?」
実川さんが数学を見せてくる。
おれもわからないところだった。
「ごめん、わからないや。野上さんは、わかる?」
「ん? うん、そこは」
「じゃあいいや。先生に訊く」
「え?」
「…………」
思わず声が漏れた。
野上さんもぽかんとしている。
「だって、先生に訊いた方が正確だもん」
「実川さ」
「そうだね、先生に訊いた方がいいよ。わたしより──」
野上さんは少し笑って、下を向いてしまった。
…………。
「実川さん、ちょっといいかな」
「え? うん──」
*
教室を出た。
出るときに創也と目が合ったけど、おれは何も言わなかった。
「……さっきの何?」
「さっきって?」
実川さんはとぼける。
……なんだろ、ムカムカする。
「野上さんに対しての態度だよ。教えてくれようとしてたのに」
「だって、幸多くんに教えてもらいたかったんだもん」
「は?」
実川さんは、もじもじする。
「幸多くんに教えてもらいたかったの。だって、こういうのがしたかったんだもん……//」
「だからって……」
そんなの……
「言ったよね、私。覚悟しててねって」
「っ──だけど!」
「私、幸多くんが思ってるより、しつこいから」
実川さんの目が、鋭くなった。
「っ……」
「戻ろう? 皆待ってるよ──?」
そして、一瞬にして笑顔になる。
その笑顔に、何か黒い物を感じた──
「……お待たせ」
「続きやろう!」
創也がもの言いたげに、おれを見る。後で話あるから、というような感じだ。
おれは小さく頷いた。
その後、野上さんはずっと黙々と進めていた。
たまに訊かれて答えると、実川さんが割り込んできて、野上さんはやっぱりいいや……とすぐに下を向いてしまうことが続いた。
*
「何なの、アイツ」
帰り、歩きながら創也が言った。
イラついているのか、創也の声にはトゲがあった。
「あの、ですね……」
「あ──?」
おれは、図書室であったことを話した。
創也は、黙って聞いてから言った。
「何? 迫られてんの?」
「……らしい」
「らしいってお前……野上、辛そうだったぞ」
「え……?」
「お前らが出て行ったあと、下向いて堪えてた」
「何を……?」
「それはわからん──」
と創也は空を見た。
おれもつられて空を見る。
あの時、本を取らなければ……
図書室に行かなければ……
「ああ……っ──」
どうにもならない思いが、口から漏れた……
そんな思いがもっと膨れ上がるのは、もう少し先のこと──
次回、テスト関連のお話。
休日投稿です。




