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誤解

幸多が成長?

 …………テスト終了。

 この前より、少し出来が悪いかも……。

 でもまあ、テストも終わったし。

 冬休みだ──


幸多(こうた)くん! 一緒に帰ろ」


 実川(みかわ)さんが、当たり前のようにやって来た。


「今日はちょっと……」

「何で?」

「先約があんだよ──」


 と創也(そうや)が間に入ってくれる。


「先約? 誰と?」

「俺らと。な、幸多」

「う、うん──」


 こういう時、創也がいると心強い。


「そういうことだから……っ?!」

「じゃあちょっとだけ借りるね──!」

「はっ? おい──!」


 ……おれは、実川さんに連れて行かれた。

 ふりほどこうにも、ガッチリ掴まれていて離せなかった──


         *


「ここなら、大丈夫、だよね……」


 階段の裏側で、実川さんは手を離して息を整える。

 おれも息を整える。


「これで二人きりだね……」


 実川さんが近づいてくる。

 おれは、少し下がる。


「……幸多くん──」


 微妙な距離を保ちながら、おれは実川さんと向き合った。


「私のこと、好きになった……?」

「え……?」


 実川さんはもじもじして言う。


「私ね、初めて会った時も言ったけど、幸多くんのこと好きだから……それにね、毎日幸多くんに会いに行くようになって、よくわかった。もっと……もっと幸多くんの側にいたい──//!」


 ──パサパサッ……


 何かの落ちる音がした。

 横を見ると、いそいそと落ちたプリントを拾う野上(のがみ)さんがいた。


「あ、えと……ごめんね──!」

「野上さん!」


 野上さんは走って行ってしまった。


「……見られちゃった//」


 実川さんは困ったような、照れたように笑って言った。

 見られちゃったよ! どうすればいいの?! 勘違いされちゃうよね?! てか確実だよ!! とりあえず誤解解かないと──!


「幸多く」

「ごめん実川さん! おれ、やっぱり──」


 野上さんしか──


「……大丈夫! もう慣れたよ」


 そう言って、実川さんは笑って口を閉じた。


「じゃ、じゃあまたね──!」


 実川さんにそう言い残し、野上さんが走って行った方に向かって、おれは走り出した──


         *


「……っ──野上さんっ」


 走って走って、やっと野上さんを見つけた。

 手にはプリントがなかった。きっと提出したんだろう。


松木(まつき)くん……」

「さっきは──」

「ごめんね、邪魔しちゃって……」

「違うよ──」


 おれは、野上さんと向かい合って深呼吸する。

 

「え……?」


 野上さんが首を傾げる。


「……野上さんは、おれが実川さんを好きだと思ってる?」

「……う、ん? 最近よく一緒にいるし……」

「違うんだ──」


 おれはまっすぐ野上さんを見る。


「……おれが好きなのは、野上さんなんだ……っ//」


 前の自分だったら、そんなこと言わなかっただろう。

 でも、今だけ──野上さんだけには、誤解されたくなかった。


「…………//」


 野上さんは、視線をさまよわせている。

 ぁ……マズい、このあと四人で喫茶店行くんだった──


「……きゅ、急にごめんね──////」

「あ……うん//えっと……、ちょ、ちょっと──//」


 野上さんはそう言って、走って行ってしまった。


「……えっ////?!」


 行っちゃった?! てか言っちゃった//! 言っちゃったよ////!? このあとどう顔合わせればいいんだ////?!

 

 血が上った頭では、これからどうすればいいのかなんて考えられなかった。

 ただただ、言ってよかったのか、言わないほうがよかったのか、それだけがぐるぐると頭の中を巡っていた──

 


休日投稿です。

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