9話
「策はないって言ってたが、なら今どこに向かってるんだ?」
「魔力の濃い場所よ。」
魔力が濃いと言われても俺には何もわからない。
「ルドム、ヴィンスに教えてあげなさい」
「分かりました」
ルドムというのは執事長のことだ。
初めて会った時名前を言われたがずっと執事長と呼んでいたから忘れていた。
「さっき魔力操作を教えましたね。それの応用といえば分かりやすいと思います。魔力操作で体内の魔力の流れを掴んだ。それを外に向ける」
「とりあえず魔力操作をすればいいんだな」
「そうしてください。慣れれば魔力操作をしてなくても魔力を感知することができます」
なるほどなと思い俺は魔力操作を始める。
「俗に言う魔力感知よ。これができれば魔獣の場所を探すのには役立つわよ。」
最初の任務で行ったあの領地で、やけに魔獣が見つかるのが早かったのは、魔力感知をしてたからか。
ただ運が良かっただけじゃなかったのか。
喋れるほどの余裕はないが、他のことを考えていても魔力操作をつづけられている。
体を巡る魔力に意識を向ける。
これと同じものを体外で感知できるようになればいい。
「両手を体の前で合わせてください」
「ああ」
俺は言われるがまま手を合わせた。
これが体外の魔力を感知することにつながるとは思えなかったが魔力について何も知らないからそういうもんだと納得することにした。
「では魔力が右手から左手に流れるように循環させてください。その循環をやめないように少しずつ手と手を離していきましょう」
確かに少しとはいえ外を経由した循環なら外の魔力に感知できるかもしれない。
理屈はわかる。
だが、これ離した状態で循環させれるかと言われると話は別だ。
離したら魔力の流れが途切れる。
その度にまた手を合わせて魔力の流れを作る。
それを繰り返していると一瞬手を離しても流れが途切れなかった。
俺はその感覚を忘れないようにすぐにもう一度やる。
流れが途切れない時間が徐々に伸びていき、コツを掴んだ。
そして外の魔力を感知できるようになった。
「どうやら、できるようになったみたいね」
「濃さはさすがにわからないがある程度なら魔力を感知できるようになった」
「まあ、いずれわかるようになるわ。安心しなさい。それにもうだいぶ濃いところに入ってるしね。濃さは分かりずらいかもね」
確かにさっきいたとこより魔獣が多い。
運転手もとんでもなく魔獣を轢いているがいかんせん量が多い。
対処しきれてない。
これは不味くないか。
一面に魔獣がうじゃうじゃいる。
「これだけの魔獣がいるってことは原因はどうやらこの奥のようね」
「そのようですね。」
「コッキーレ、飛ばしてもらえる」
「はい!分かりました、お嬢様」
車のスピードが上がる。
さっきまでも十分早かったが全速力ではなかったらしい。
いったい、この車はいったいどれだけ早く走れるんだ。
しばらくすると禍々しい漆黒の渦が見えた。
強烈な恐怖が俺を襲う。
この渦には何かある
コッキーレはそのまま渦を轢こうとする。
「避けなさい、コッキーレ!」
ラナもこの渦に違和感を覚えたのか叫んだ。
読んで頂きありがとうございます。
この作品は小説家になろうとカクヨムにて投稿しております。
Twitter(現X)
https://x.com/NiaN_kami




