10話
「避けなさい、コッキーレ!」
今まさにコッキーレがそのまま轢こうとしている禍々しい漆黒の渦に違和感を覚えたのかラナは今まで聞いたことのないレベルの叫び声を放った。
だが、もう遅い車は渦に突っ込んでしまった。
コッキーレがギリギリで横に軌道をずらしたが避けきれなかったのだ。
車という巨体が軽く吹っ飛ばされ、木っ端微塵になってしまった。
俺たちは車から飛び出す。
運転席にいたコッキーレはモロに影響を受け気絶しているようだが、他のメンツはなんとか意識はあるようだ。
ラナ、執事長、俺はなんとか立ち上がったその時だった。
渦からキィィィーン…と、耳障りな音が響き魔獣が湧き出る。
こっちは立つのでやっとだっていうのに…。
最悪のタイミングだ。
『ファイヤストーム』
ラナが渦と湧き出る魔獣たちに向け魔法を放った。
渦と逆回転の燃え盛る炎の嵐で相殺しようとしているようだが、魔獣はある程度片付けられたが渦には何も効果がないようだ。
「ヴィンス、ルドム来なさい!」
ぶっ飛ばされた影響で少し離れたとこにいたが一人一人では危険だと判断したのだろう。
ラナに近づくと淡い緑の魔法陣が浮かび上がる。
回復魔法だ。
依然としてピンチには変わりないが、これは助かる。
問題はこの渦をどうやって攻略するかだ。
車のとんでもパワーで轢いても魔法での攻撃も効いてる様子がない。
物理でも魔法でも意味がないということだ。
「どうする?これじゃどうにもできないぞ」
「魔力感知を覚えたでしょう何かわからない?」
ラナに言われて魔力感知をしてみる。
まだなれたものではないがわかったことがある。
それは渦の中央から魔力が分散されてる。
「おそらく、あの渦には核をある。」
ラナが叫んだ。核目視はできないが魔力の流れを見れば本当にあるのだろう。
つまり
「核を壊せばいいってことか」
「魔力の強い流れができてる。今の私たちじゃ攻撃しても核には届かない」
「じゃあどうするってんだよ!」
思わず叫んでしまう。
「核の魔力が尽きるのを待つのよ」
「それはいったいいつなんだよ」
「何もしなければ一年ってとこね」
どうしようもないじゃないか。
「さっきの私の魔法である程度は削れた」
「じゃあ魔法打ちまくればいいってことか?俺何もできないじゃないか」
「いやおそらく魔法じゃなくても効果はあるわ。まあ直接殴ったりしたら殴った側の腕が吹っ飛ぶわよ」
それなら遠くからやればいい。
さっきので壊れた車の破片を投げればいけるか?
そう思い思いっきり投げてみる。
見た目に変化はない。
「少しは効いたみたいね」
「そうなのか。見た目じゃ何もわからん」
『ファイヤストーム』
ラナが今度は渦と同じ回転方向の炎の嵐を出した。
「やっぱり逆回転の方が効果はあるみたいね」
なんでこいつはそんなこと試せるんだよ。
さては結構余裕あるな。
俺は満身創痍なのに。
そういえば車から吹き飛ばされた後も普通に突っ立ってたな。
だが渦も魔物を生み出し続ける。
ラナとルドムが軽く魔法で倒してくれているが、量の多さは以前として変わらない。
ラナとルドムが取り逃した魔獣のどどめを俺が指す。
けずれているのだろうが、やはり見た目じゃ何もわからない。
少しくらいは見た目に変化が欲しいものだ。
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