50話
「あなた回復魔法なんて使えたかしら?吸収したの?」
「ああ、流石に吸収した分だけじゃ回復し切らなかったがな」
こいつの前で迂闊に回復魔法を使うのは危険か。
俺は使えないから問題はないが、ラナが使う可能性がある。
今はそこまで傷を負ってるわけではないからいいがあまり傷を気にせず行くのも良くないな。
致命傷さえ避ければいい、なんてことは言ってられない。
今はレックスの剣もさっきの爆風で大破してやり合うなら拳同士になる。
剣より拳の方がマシだがその分当たっても問題ないと油断してしまう。
「避けてばっかじゃないか」
俺と拳を交えてるレックスがそんなことを口にする。
流石に避けることに意識を置きすぎたか…。
俺はそんなことを思いながら横腹に蹴りを入れる。
「案外動けるんだな」
ギリギリのところで躱したレックスに言う。
かなりの傷だと思うんだが。
「そうかな、個人的にはあんま動けてないと思うんだけど」
「それだけの傷でよく動けるって言われる方が怖いよ」
「でもそんな状態の俺と君は互角だ」
「くそぉ…」
「ラナに回復魔法かけてもらった方がいいんじゃないか」
「余計なお世話だ」
その手には乗らない。
ラナが回復魔法を使ったら吸収するつもりだろう。
いや、そもそもこいつはどうやって回復魔法を吸収するつもりだ。
今まで吸収された魔法とは仕様が違う。
今までの魔法にはいわゆる形があった。
火の玉やら火の槍、だが回復魔法は対象に直接発動される。
強化系魔法と同じだ。
もし回復魔法が吸収できるのであればマジックバリアとかを吸収していればよかったはずだ。
あれをかけてもらった時吸収できる距離にいたはずだ。
「レックス、さっきの回復魔法はどうやって吸収した」
素直に答えるわけがない。
まだ俺たちには吸収する技の全貌が見えていない。
何かある、少しでもそれがわかることを期待して俺はそう問いかけた。
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