32話
「愚かだな。実力の差もわからず挑んでくるのか」
凄まじい目力だ。
怯みそうになる。
今の俺じゃこいつにどんな攻撃も防がれるだろう。
たとえ防がれてもいい。
一発でもいい…。
ぜってぇ、こいつをぶん殴る。
ルドムの仇を討ってやる。
「落ち着きなさい。ヴィンス」
「落ち着け、お前じゃこいつに勝てない」
ラナとメタノイアに制止される。
それでも俺の怒りは収まらない。
ラナから水属性の魔法で頭に水をぶっかけてきた。
「いきなり何するんだ」
俺はラナに文句を言う。
メタノイアも俺を抑えていたせいで少し濡れてしまったみたいだ。
少し渋い顔をしている。
「落ち着きなさい。冷静に」
そうだ、ラナだってキレているんだ。
その綺麗な腕には普段は見えない血管が浮かび上がっている。
強く握ってるその手は爪が深く食い込んで血が垂れている。
「悪かった。少し頭に血が昇ってたみたいだ」
ラナは大きく一回深呼吸をした。
「いいわ。でそろそろ戦いましょうか。ちょうど3人ずつだし大将戦とはいかないけどそういう風にやるかしら?」
3人、こっちはラナ、メタノイア、そして俺の3人。
向こうはレックス、副将、食堂の時からレックスにずっとついていた無言のメイド。
メイドの実力はわからないが総合的に見れば勝てない相手ではないはずだ。
俺だって強くなってるはずだ。
強化系魔法を1分継続できるようになった。
炎属性の魔法もラナやメタノイアに比べればまだまだだが十分使えるレベルだ。
こいつらにどれだけ通用するかは未知数だがぜってぇ勝ってやる。
「いや1人ずつ戦うのではなく全員一斉に戦おうではないか」
「いいわそれで戦いましょうか。3対3ね」
「2対3だ。俺とアセシナートの2人で十分だ」
「舐めたことを…。その油断が命取りよ」
メイドは軽く頭を下げて下がっていく。
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