14話
「おやおや負け犬の皆さんではないですか。負けたのが悔しくて逃げ出したかと思いましたよ」
ラナの屋敷に戻り車を降りると俺たちを皮肉った声が聞こえる。
見覚えがあるこいつは昨日の試合のレックスチームの中堅を担当していたやつだ。
かなり時間が経っておりもう夜だ。
俺たちはこいつを無視して屋敷の中に入ろうとする。
「逃げるのか」
後ろからそう聞こえる。
一回足を止めるが無視してまた進み出す。
「おい、まてよ」
中堅は俺の肩を掴み強引に俺たちを止める。
おそらく俺たちを笑いにきたのだろう。
「俺と決闘しないか」
「悪いがお前の相手はしたくない」
ルドムが亡くなり俺だって辛いのだ。
仇を打ちたいと思いはする。
でも今は自分の無力さに絶望しているのだ。
「はっ!そんなんだから負けるんだよ。まあいいじゃあな」
今日はひとまず寝ることにした。
頭がぐちゃぐちゃしてなかなか寝付けなかったが気づいたら寝ていた。
朝起きて朝食を取ってる時のことだ。
「ルドムは信頼においていたし、たくさん頼っていた。あなたにはルドムの思いを、その役割を引き継いでほしい。私が一番に信頼する護衛になりなさい」
「でも俺じゃ力不足だ…」
「なら勝てるように頑張ればいい。何度負けても勝つまで挑み続けるの」
「でも…」
「あなたにはポテンシャルがある。勝てるわよ」
ラナは俺を慰めてくれているのだろう。
ラナの方が関わっていた。
ラナの方が辛いはずだ。
俺がへこたれてる場合じゃない。
「わかった。俺頑張るよ」
「あなた…、ちょろいわね」
「はぁ?なんでだよ」
少しいつも通りに戻った気がした。
「そうそう、ルドムの葬儀なのだけど2日後におこなうわ」
また暗い雰囲気に戻る。
朝食を食べ終わり俺はデア•ムート騎士団長を探していた。
試合に負けた日の夜、「修行に付き合って欲しかったら頼るんだ」と言われた。
2日後の葬儀までに跡を継ぐと表明できるだけの実力をつけてみせる。
早速だがそのために団長を頼らせてもらう。
騎士団の訓練所に向かう。
「団長はいるか?」
「いえここには来ていません。おそらく外の方におられるのでは?」
訓練所にいた騎士団の人が言った通り外の方にいた。
「こんなとこで何してるんだ?騎士団長」
「ヴィンスか。今は精神統一をしている」
「なん…」
俺は「なんで」と言いかけていた口を閉じる。
騎士団長だって俺以上に関わりがある、こいつだって悲しいのだろう。
というか脳筋だと思っていたがこういうこともできるんだな。
「ヴィンス、君もやるか?いい足のトレーニングになるぞ」
団長の足元を見るとただあぐらを組んでいるわけではなく足の小指で体を持ち上げていた。
前言撤回だ。
こいつは脳筋だし、たぶんあんま悲しんでない。
読んで頂きありがとうございます。
ブクマや評価、感想を下さると幸いです。
この作品は小説家になろうとカクヨムにて投稿しております。
Twitter(現X)
https://x.com/NiaN_kami




