12話
俺1人ではこの刺客に勝つことはできない。
昨日の試合で俺と刺客は先鋒として戦ったが完膚なきまでに敗北した。
でも今は1人ではない、勝てる可能性は高いはずだ。
それに大将戦まで行ったということはこいつに勝っているということだ。
刺客が魔法を打つ。
それをラナが打ち消す。
ラナは涼しい顔をしている。
おそらく遊んでいるのだろう。
『ムルトゥスファイヤッ!!』
俺がやられた魔法だ。
『アイスストーム』
ラナは軽くそれを打ち消す。
この2人の戦いについていけない。
執事長はコッキーレの介抱をしている。
俺は何ができる?
魔法は使えない殴る蹴るしかできない。
「うぉーーッ!」
俺は地面を全力で蹴り刺客に近く。
その勢いを使い全力の殴りを相手におみまいする。
「ふんっ!」
「はぁ!」
刺客も殴り返してくる。
全力の殴り合いだ。
いや相手は魔法を打てるくらいには余裕がある。
相手が打ってくる魔法はラナが打ち消してくれる。
俺1人ではやはり何もできない。でも今はそれでいい。
こいつの殴りはそこまで痛くない、おそらく魔法にかまけて体術をおろそかにしていたのだろう。
俺が殴りを当てれば少し怯ませることができる。
このままいけば勝てるそう思った。
その時だった、刺客は少し離れ赤い薬の入った小瓶を取り出した。
禍々しい薬だ。
刺客は瓶を開け薬を飲み込んだ。
「はーはっはっ…!」
「何よ、あいつ」
ラナが眉をひそめる。
後方からコッキーレを支えながら近づいてきたルドムが
「おそらく何かしらの暴走を引き起こす薬です」
と言った。
確かに筋肉が膨れ上がる。
それに、魔力が増えているのが俺のまだ粗い魔力感知でもわかる。
俺の技量じゃこの力の差には抗えない。
それに魔法の量も速度も上がっている。
ラナは涼しい顔をしながらさばいているがこのままだと俺がやられる。
ルドム執事長はコッキーレに肩を貸していてあまり動けない。
俺は身につけたばかりのままならない魔力操作
で拳に魔力をのせてみる。
威力は同じくらいまで持っていけた。
でも…その分体術が疎かになっている。
相手に追いつこうと体術に気を回すと魔力がのらず威力が足らない。
魔力操作を体に慣らすしかない。
徐々に体術にも気を回していく。
そうすれば勝てるはずだ。
でもそんな猶予はない。
俺は刺客の腹にむけて殴りと蹴りの二連撃を打ち込んだ。
ずっとやっているのが無理なら攻撃するその種だけ意識すればいいのだ。
多少威力は落ちたみたいだが、こうすれば体術にも気を回せるからかいいとこに当てられる。
だいぶ効いたのか少し怯んだ。
ラナはその隙を見逃さず魔法を打ち込んだ。
『ファイヤランス』
その炎の槍は刺客の心臓を撃ち抜いた。
刺客はもがき苦しみ、「死にたくない、死にたくない」と言った続ける。
『ファイヤランス』
ラナは哀れんだ目でもう一度撃ち抜いた。
次第に刺客は何も言わなくなった。
息がとまったみたいだ。
「グハァっ…」
後ろから声がする。
振り返ると剣を貫かれたルドムの姿が見えた。
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