28話:えこひいき政策と住専問題と利権
一体どういうことだ政府!なんで俺らを見殺しにしておいて住専だけ助けるんだよ。うちの会社だって倒産したんだから助けろよ。金融システムの信頼回復のために仕方ないとか言っているけど、住専なんてそもそもノンバンクじゃないか。なんでそんな銀行でもない所を助けるのに、俺らの税金を使うんだよ。こんなの全然納得いかないぞ。何か裏があるのでは、と勘りたくなるのは当たり前。
しかし、やはり、やましい事ばかりだった。
「実は、住専は、コテコテの大蔵省の天下り機関だったのだ」。
「そもそも考えてみれば、住専には最初から怪しすぎた」。
「まず住専は、多くの銀行の共同出資で作られた」。
「なんでライバル銀行同士で共同出資をする必要があったのか」。
「今、当たり前の銀行合併だが、この頃、他行との協力なんてありえなかった」。
「住専は細かく見ると8つの会社の総称だが、そのうち7社が破綻」。
「そして、その破綻した住専7社中6社の社長が元大蔵官僚だ」。
さらに、不自然な規制があった。
「大蔵省は不動産融資総量規制を各銀行に通達した」。
「しかし、なぜか住専と農協系金融機関だけは対象外」。
さらには、大蔵省と農水省の密約があったのだ。
「大蔵省は、農水省との間で、住専に農協マネーを投じる。
「その代わり破綻時、農協を優先的に救済する覚書を交わた」。
「1996年の住専国会で取り上げられ大問題になった」。
「これで、もし大蔵官僚が、住専は関係ないと嘘を言ったら、霞ヶ関を出た瞬間、善良な納税者たちからタコ殴りだ」。
「住専は大蔵官僚にキッチリ私物化されていた」。
「つまり住専は、大蔵官僚が自らの利権のため銀行たちに作らせた」。
「農水省や農協、自民党をも巻き込んだ『利権の温床』にした」。
「しかし政府は、国民の声をよそに住専への公的資金注入を決定」。
「これを機に日本では銀行を公的資金で救済する悪しき慣習が生まれた」。
それ以外にも日本経済には、いばらの道が待っていた。1995年、日本は、謎の円高に襲われた。確かに最近、日本は消費が停滞し、「外国のモノを買わず、日本のモノばかり売る」だった。これをやると外国人の円需要ばかり増える「日本の製品を買うために円が必要」だから、どうしても円高に。でも、そんなレベルじゃなく、この時の円高は猛烈な勢いで進行。
1990年代は「1ドル150円」位から始まって、そこからずっと円高が続いていたが、それが1995年初頭には「1ドル100円」、それがその後90円になり80円になり、そして1995年4月19日、為替レートはついに「1ドル79円」の当時最高値を記録。しかし、この時期、バブル後の不況に加え、阪神淡路大震災まであった。それでなぜ、円高になのるのか、おかしい!
実はこの時の円高は、多くの国際社会の事情がからんだ、複雑な円高。アメリカがとった対日貿易赤字の縮小策と対中国優遇の元の切り下げ、メキシコ通貨危機に端を発する海外投機マネーの円への避難。震災後の保険金支払いに備えて日本の生保・損保が外貨資産を売却して円買い。そしてこれら諸々を見通した上での、投機筋による円の思惑買い、つまり悪循環が重なったわけ。
不況の上にこれだけ円高が進んだんじゃ、もう日本経済は木っ端みじん。この頃はもう日本中がヤケクソで「海外旅行が安くて得だ」と騒ぎ、海外旅行が大流行した。何にせよ、これだけ円高が進んでは、日本の本来のお家芸・輸出でも利益は出ない。これはもう、どうしようもなくお手上げだ。日銀はこの後、仕方なく、公定歩合を0.5%まで引き下げた。




