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27話:偏った政策と住専問題、バブル崩壊

 結局、この総合経済対策は、数回やったが効果がなかった。国民に残されたものは、相変わらず出口の見えない不景気と赤字国債発行による巨額の財政赤字だけだった。せっかく1989年の消費税3%の導入から発行せずにきていた赤字国債なのに、またジャブジャブと赤字国債の発行に走った。銀行には担保があるのに、なぜ回収不能なのバブル後の景気回復を遅らせた大きな原因に銀行の不良債権問題がある。


 ここで解せないのは、なぜそれだけで回収不能になるのかという事だ。だって銀行は、カネを貸すときにキッチリ担保を取る。あんたに8千万円貸すが、あんたの工場を担保に取るからな。これでアンタが倒産しようが死のうが、その工場を売っ払えば私ら銀行は損しないという契約で金を貸すわけだ。これなら銀行に「回収不能の貸付金」なんて生まれるはずがない。


 その理由は「過剰融資」ためバブルの頃、銀行で過剰融資が公然とされていた。バブル期、将来的な地価上昇を見越んで現在の担保価値以上に金を貸すやり方、ブローカーが銀行員とぐるになってニセの稟議書を書かせるやり方などが流行した。しかしバブルが弾けて金を借りた社長が夜逃げでもしようものなら銀行に残されるのは貸した金よりはるかに価値の低いクズ不動産だけ。


 しかも今はバブルが弾けてその不動産の価値も大幅下落。南青山の億ションの話では「譲渡担保」なんていうやり方まであった。これは「今から買う10億円の億ションを担保に10億円借りる」というやり方だが、投機物件を中心に不動産価格が急降下している時には、こんなバブルの見本みたいな物件に、担保価値など、ほぼない。


 そして銀行マンたちは、この不良債権問題から目を背けた。なぜなら、彼らの多くは大なり小なりバブル期に、やましい融資を手がけたことがあるからだ。それが上司からの命令なのか、カネのためなのか、それともノルマに追われて魔が差したのかはわからない。でも全行員がうっすら共犯関係を共有している状態では銀行の自浄作用など期待できない。


 しかし、世の中のバブル崩壊で里見レストランに来る、お客さんの増減には、あまり影響がなかった。と言うのは、今まで高級店に通っていた富裕層が、庶民的な値段で、そこそこの料理を出す里見レストランに新規顧客として来るようになったからだ。また役所の近くの里見レストランの客数は、減らず出前の注文も特に変わらない。むしろデフレによる原材料の値下げで利益率は、上がった。


 それでも世の中の動きを見て、今までの拡大路線から、じっと耐え忍ぶ、忍者作戦に切り替えて、景気が良くなるのをひたすら待った。しかし、その願いもむなしく日本経済は、住専問題で、奈落の底へ、まっさかさま。1995年、ついに住専がとんだ。農協マネーをバックにつけ資金面では問題ないかに見えた住専だったが、いかんせん銀行系の不動産バブルが完全に崩壊。


 不動産投機自体が全体的に冷え込み、また顧客の多くが住専以外のバブル崩壊に巻き込まれギブアップし、とうとう破綻。新規の客が激減し、なじみの客が不良債権化。これでは、いかに農協マネーという裏技使いの住専でも白旗を上げた。この住専破綻、実は、この後、問題が大きくなる。なんと政府は、破綻した住専に対し6850億円もの公的資金を注入する事を決定。これには、誰もが驚き怒った。当たり前、公的資金を注入すれば住専だけ、えこひいきして助けるという事になる訳だ。

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