帰るつもりだったのに、夜になっていました。
「カイト?」
聞き覚えのある声がした。
振り返る。
銀色の長い髪。
青紫の瞳。
ただ。
いつもと何かが違う。
「…………セレナ?」
「なぜ疑問形なのですか」
「いや、服が」
いつもの服とは違う。
白いブラウスに、紺色の長いスカート。
髪も下ろしている。
「今日はどうしたんです?」
「祭りに来ただけです」
「一人で?」
「悪いですか?」
「いや」
「セレナ!」
ミアが駆け寄る。
「かわいい!」
「…………」
セレナが固まった。
「どうした?」
「何でもありません」
「顔赤いよ」
「赤くありません」
「赤い!」
「夕日のせいです」
なるほど。
こういうのは苦手らしい。
◇
「セレナも一緒に行こう!」
「どこへ?」
「夜のお祭り!」
「私は一人で見て回るつもりでしたが」
「三人の方が楽しいよ」
「そうでしょうか」
セレナがカイトを見る。
「俺に聞かないでください。俺も連れていかれてる側です」
「では、仕方ありませんね」
「なんで俺のせいみたいになってるんです?」
「決まり!」
何が決まったのか分からないまま。
三人になった。
◇
「ずいぶん楽しそうだな」
しばらく歩いたところで。
今度は低い声がした。
「アルベルトさん?」
「偶然だな」
アルベルトだった。
普段より少し軽い服装をしている。
それでも。
人混みの中では妙に目立つ。
「セレナもいたのか」
「こんばんは」
どうやら二人は顔見知りらしい。
「アルベルト、一人?」
ミアが聞いた。
「ああ」
「友達いないの?」
「ミア」
カイトが止める。
だが。
アルベルトは少し考えてから答えた。
「……毎年一人だな」
「じゃあ今年は四人ね」
「何?」
「一緒に行こう!」
アルベルトがカイトを見る。
「なぜ私を見る?」
「俺にも分かりません」
「断れると思うか?」
「無理だと思います」
「そうか」
アルベルトは小さく笑った。
「では、付き合うとしよう」
四人になった。




