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ひかさま(副光主)プッツンする

追い討ちをかける様にルナは、最後に「とっておきの劇薬キラーカード」を書き加えた。


【追伸:マーケットの改善案】


現在、ギルドの機能不全を補うため、私たちが「元女性冒険者」が自立し、独自に掲示板で仕事を斡旋するしていること。


その収益の一部は、社会貢献ガバナンスとして教会に寄付し、良好な関係を築いていること。


最後に一言。


「願わくば、次は女性の視点で運営できる、清廉な『女性ギルドマスター』が着任されれば、この街の市場ギルドも健全化するのですが」


「……ルナ。……最後、……爆弾。……マスター、……クビ……確定」


リュンヌは、ルナが放った「女性ギルドマスター待望論」という名の、人事介入クーデターへの誘い文句に戦慄した。


副光主という少女エリートにとって、これほど「支援しがいのある案件」はない。


「ふふ、単なる不満の報告じゃないわ」


ルナはにこにこしている。


「腐敗した現職を切り捨てた後の『後任リプレイスメント』という、具体的な解決策ソリューションまで提示してあげたのよ」


世間ではそれを横暴と呼ぶ事をリュンヌは知らない。


「これこそが、一流のコンサルタント……いえ、聖女の仕事よ」


ルナは完璧な封蝋を施し、不敵な笑みを浮かべて本部の聖騎士にその書状を託した。


「聖騎士様、副光主様へ。……この街の『不当なコストカット』に苦しむ女性たちの声を、どうぞそのままデリバリーしてくださいな」


聖騎士は、聖女ルナの気迫と「正義」に当てられたように、深々と頭を垂れて書状を受け取った。


「承知いたしました。……ルナ様。……必ずや、本部の『光』をこの街に届けましょう!」


聖騎士が馬を飛ばして去っていく背中を見送りながら、ルナは銀髪をかき上げた。


返信はまた2日後に大聖堂についた。


「……見てよ! このあまりに不誠実な対応デフォルトを!」


副光主の部屋から少女の声が響く。


「 懐妊が誤報だったとしても、提案をことごとく握りつぶし、対話のネゴシエーションにすら着かないなんて」


副光主は信じられないというリアクションしか取れなくなり、つい地の年齢の言葉になる始末だ。


「……組織のトップとして、あまりにダメな人です!」


副光主は、ルナから届いた「現場報告書」を机に叩きつけ、鼻息荒く立ち上がった。


その頬は義憤で赤らみ、丸い文字の可愛らしさとは裏腹に、その言葉には最高執行責任者としての鋭い「圧力プレッシャー」が宿っている。


「これはもう、光主こうしゅ様に直接言って、即座に介入すべきレベルじゃないの!? ねえあなたもそう思うわよね?」


知恵袋の老神官は、主のあまりの熱量に苦笑しつつも、静かに頷いた。


「ええ、ひかさま。仰る通りですわ。ルナ同志のような現場で戦う方を、本部が孤立させる(デフォルト)わけには参りません。」


この状況では吐き出せるしかないと老神官は諦めて同意する。


「……それに、光主様も近頃、冒険者ギルドのガバナンスの緩みについては懸念を示されておりましたから」


副光主は、信頼する知恵袋の言葉に力強く頷いた。


「そうよ。私たちが『聖女の祝福』で得ているこの快適な日常も、彼女たちの献身の上にあるの。」


かなり私情が混ざった判断だが、女性ばかりのこの場では副光主の心情が皆わかるので誰も止めはしない。


「それを無碍にする不浄な輩は、速やかに市場から退場させないとダメなの!」


副光主は、ルナの書状を大切に封筒へ収めると、決然とした表情で立ち上がった。


「さあ、動くわよ。光主様への上申書には、私が直々に『特級の緊急案件』として署名するわ。……そのギルドマスターという不良債権、完膚なきまでに叩き潰してやるんだから!」



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