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リボンが黒く染まるまで 〜救うほど闇に近づく魔法少女になってしまいました…!〜  作者: ぽころっと
Chapter 3 もう一度、歩き出すために。

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第40話⑥ もう一度、一緒に。

未来へ。

星の庭園を包む光が、ゆっくりと収まっていく。


リノの胸元には、新たな契約の証が静かに輝いていた。


以前よりも優しく、温かな光。


ミミルは嬉しそうに笑う。


「やったぁ!」


「リノ!また一緒だね!」


「うん。」


リノも涙を拭いながら笑う。


「もう離れないよ。」


「もちろん!」


ミミルは胸を張る。


「今度はもっともっと強くなる!」


その様子を見たひまりが、大きく笑った。


「よかったぁ!」


ルルも優しく微笑む。


「これで、本当に全員そろったね。」


ノアは剣を握り直す。


「でも。」


「まだ終わってない。」


全員の視線が天城たちへ向く。


天城は穏やかな表情のまま、小さく頷いた。


「そうですね。」


「続きを始めましょう。」


スミレがニヤリと笑う。


「先生!」


「今度こそ決めちゃう?」


「ええ。」


「ですが。」


「焦る必要はありません。」


コトも静かに構える。


メルはキャンディを指先でくるくる回していた。


レイナだけは、じっとリノを見つめている。


その視線に、迷いが見えた。


「レイナ……。」


リノが小さく名前を呼ぶ。


レイナは答えない。


ただ静かに目を閉じた。


その瞬間。


「行くよ!」


ひまりが飛び出した。


炎が一直線に走る。


「リボン・ブレイズ!」


スミレが迎え撃つ。


「面白いじゃん!」


二人の攻撃が激しくぶつかる。


その横をルルが駆け抜ける。


「今!」


コトがリボンを放つ。


光と光が夜空で交差する。


ノアはレイナへ向かう。


「レイナ。」


「まだ引き返せる。」


レイナは悲しそうに笑う。


「……ごめんねぇ。」


「私は。」


「先生を裏切れない。」


「じゃあ。」


ノアは静かに構える。


「止めるしかないね。」


二人の武器がぶつかり合う。


その頃。


リノは車椅子のタイヤを強く握った。


(私も。)


(もう逃げない。)


ミミルが肩へ乗る。


「リノ!」


「ボクたちも!」


「うん!」


リノは大きく息を吸う。


胸元のリボンが輝く。


光が車椅子を包み込んだ。


「みんな!」


「援護する!」


無数の光のリボンが夜空へ舞い上がる。


ひまりが驚く。


「すごい!」


以前よりも柔らかい光。


それは敵を傷付ける力ではなく、仲間を支える光だった。


ルルのリボンへ重なる。


ノアの剣を包む。


ひまりの炎がさらに大きく燃え上がる。


「力が……!」


「増えてる!」


ミミルは得意げに笑った。


「これが!」


「リノの本当の力だよ!」


天城はその光景を見つめ、小さく目を細める。


「……なるほど。」


「それが。」


「あなたの答えですか。」


リノはまっすぐ天城を見る。


「先生。」


「私は。」


「苦しい未来でも。」


「みんなと歩いていきたい。」


その言葉に、ひまりたちは笑顔になる。


天城も静かに微笑んだ。


「そうですか。」


戦いは、少しずつ天城たちを押し始めていた。


スミレは肩で息をする。


「先生!」


「これ、結構キツいんだけど!」


メルも苦笑する。


「キャンディも減ってきたよ〜。」


コトは静かに状況を見つめる。


「先生。」


「撤退も考えるべきなの。」


レイナはリノを見つめたまま、小さく呟く。


「……リノちゃん。」


天城は静かに空を見上げた。


そして。


小さく微笑む。


「皆さん。」


「今日はここまでにしましょう。」


「えっ?」


スミレが目を丸くする。


「まだ戦えるよ!?」


メルも首を傾げた。


「帰るの〜?」


コトはすぐに頷く。


「先生がそう言うなら。」


レイナも静かに武器を下ろした。


「……分かった。」


ひまりは驚く。


「逃がさない!」


炎をまとって飛び出そうとした、その時――。


リノが静かに声を上げた。


「待って。」


全員の動きが止まる。


リノは天城を見つめた。


「先生。」


「一つだけ聞いてもいい?」


天城は足を止める。


「はい。」


「どうして。」


「どうして、あんなに私を助けようとしてくれたの?」


庭園に静寂が訪れる。


天城は少しだけ考え、穏やかに答えた。


「あなたは。」


短く息を吐く。


「昔の私に、とてもよく似ていたからです。」


それだけだった。


理由も。


過去も。


何も語らない。


でも、その一言には本物の想いが込められていた。


リノは何も言えなかった。


天城は静かにポケットへ手を入れる。


そこから取り出したのは、一粒のキャンディ。


夜空を閉じ込めたような、透き通る青い光を宿していた。


彼はゆっくりとリノの前へ歩み寄る。


「受け取ってください。」


リノは戸惑う。


「……これは?」


天城は優しく微笑んだ。


「安心してください。」


「これは誰かの心から作られたものではありません。」


「私自身が作った、小さな奇跡です。」


リノはそっと受け取る。


キャンディは手のひらで、星のように優しく瞬いていた。


天城はその光を見つめながら言う。


「あなたは私とは違う未来を選びました。」


「でしたら。」


「最後まで歩き続けてください。」


「その未来を、いつか私にも見せてください。」


リノはキャンディを胸の前で大切に握りしめる。


「……ありがとう。」


天城は静かに頷いた。


そして少しだけ口元を緩める。


「次は。」


「勝ちますからね。」


リノも、自然と笑みを返す。


「負けません。」


二人の視線が交わる。


敵と味方。


それでも互いを認め合った、初めての瞬間だった。


天城は踵を返す。


星の扉が静かに開く。


「皆さん。」


「帰りましょう。」


「はーい。」


「了解なの。」


「またねぇ。」


レイナだけが振り返り、小さく笑った。


「リノちゃん。」


「今度は、ちゃんと迎えに行くねぇ。」


そう言い残し、四人は天城の後を追う。


ひまりは思わず一歩踏み出した。


「待ちなさい!」


しかし、その腕をリノがそっとつかむ。


「ひまり。」


「もういい。」


「でも!」


リノは星の扉を見つめながら、穏やかに微笑んだ。


「先生とは……。」


「きっと、また会える気がする。」


その言葉に応えるように。


扉の向こうから、天城の優しい声だけが届いた。


「ええ。」


「また、お会いしましょう。」


星の扉は静かに閉じる。


夜空には、穏やかな風だけが残っていた。

Chapter 3 完

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