07.品川埠頭ダンジョン、地下 ー みんな20以下
「うぃっす」
「おはざっす」
すれ違うスタッフが私に挨拶をするので、私も普通に返す。
首から下げた胸元の社員証を皆が一瞬チラ見するのが分かる。
「これは、ただの入管証じゃないですよ。美華斗様が採用した特別な人であるという社員証です」
入り口で灰音が言って渡してくれた入館証には、美しい美華斗の顔写真があった。
「えっ、なんであの人の顔写真?しかもちょっと気取ってないか?」
「お美しい美華斗様のブロマイドのような顔が入った社員証だなんて、羨ましい限りですわぁ」
「あぁ、そ」
灰音の言葉に呆れたが、私はもう気にしないことにした。
「ね、ここにいる人ってもしかしてここに住んでいるよね?これだけのサーバー群を動かし続けるって、相当な仕組みがいるから……寝泊まりしているよね?」
「そうです。圭さんは特別です。普段結界を緩めることはしないのですよ」
前髪がメガネにかかっていて、相変わらず灰音の表情は読めない。
灰音の社員証は、やはり、前髪がメガネに前かぶりしている顔写真だった。
――意味あるのか……。
――あぁ、そうじゃないとカメラも追えないか。
――いつも瞳が見えないんだからな。
廊下のセキュリティ上は万全のようだ。指紋認証、どこまでも追ってくる追尾カメラ。
時々、渡ってはいけない廊下のようなものが出現し、赤外線レーザーが見えた。
「うぃっす」
「おはざっす」
私は軽く頭を下げて挨拶をしながら、すれ違うスタッフの過失係数を密かにチェックする。
みんな20以下。
――流石だ。
――スタッフは悪くない。
チラリと、昨日の会社のフロアで上司と同僚に見えた数字を思いだした。
――あの会社は腐ってる。間違いないな。
――で、見てほしい奴はどこだ?




