電車内で鬼ごっこってなに?
「まず、この電車で二人の男が喧嘩をしたのよ。発端を覚えてすらいないつまらない喧嘩だったけど。そのまま殴り合いになりそうな勢いだったけど、殴ることはできない。そんなとき、突然空中にゲーム開始を問う画面が出てきたわ。もちろん二人は同意し、そしてゲームが始まった。ゲームの内容はルーレットで鬼ごっこになったけど、まあ、酷いものだったわよ。二人とも混乱して、何もできないままゲームは終わった。そして二人とも死んだわ」
「ちょ、ちょっと待てよ。二人とも死んだ?デスゲームとかそういうやつなら片方は生き残るんじゃないのか?」
「ええ、だけどこのゲームの場合、協力してゲームをクリア条件を達成した後、相手を殺すことが可能になるわけ。つまり、ゲームクリアまで相手を殺すことはできない。しかも殺させるのは先程まで協力させた仲間。あらためて趣味が悪いゲームね」
「まじかよ…そんなの残酷すぎる……」
話を聞きながらめまいがするような思いに駆られた。このゲーム、いや世界の理不さと趣味の悪さに腹が立つと同時に気分が悪くなった。
「なんで死んでまで相手を殺さなきゃいけないんだ………!」
すこし、三人の間に沈黙が走った。その沈黙を破ったのは黙って聞いていた加藤だった。
「…ところでなんだが、この世界での死ぬってなんなんだ?もうすでに俺らは死んでいるのに」
…確かにそれもそうだ。この世界の死というのはどう意味なのだろうか。
「さあ、私も便宜上、死ぬと言っているだけで本当は別の意味かもしれない。だけど、ゲームに負けた二人は綺麗に消滅したのよ。跡形もなく。汚れていた床の足跡とかも含めてね」
「…つまりあれか、漫画とかでいうところの存在ごと消える、みてーなやつか」
「多分そういうことだと私も思ってる。まあ、違う意味かもしれないけど。例えば、天国に行くとか、転生するとかね」
「ハハッ、死んだ方がマシっつーパターンもあるわけだ」
「可能性だけどね」
加藤と佐々木が話している間佐藤は一人考え込んでいた。
ーーなるほど。この世界での死は存在の消滅、か。
この世界にはゲームがあり、それで相手を消すことができる。…もう二人消えたのか。
動揺は消えていない。だが、それよりも焦りの気持ちが大きかった。この世界からの脱出、そしてーー
しかし、そのゲームがいつ自分に仕掛けられるか分からない以上、迂闊に動けないことへの苛立ちも大きかった。
「まあ、そんな感じだから今この列車内ではみんな大人しくしてるのよ」
「なるほどなー、なあ、佐藤はこれからどうするべきだと思う?」
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