エピローグ
主よ我が祈り届けたまえ……なんてね。
あの子は、最後まで真面目でした。
きっとあなたも見ていたでしょう。血で汚れた床の上で、泣きながら、それでも誰かの手を取り続けていた姿を。
かわいそうだと思いましたか。
健気だと思いましたか。
それとも、少し滑稽でしたか。
祈りは万能ではありません。
命を縫い止めることも、失われたものを元通りにすることもできない。
少なくとも、あの時あの場所では、そうでした。
でも、まるで何も届かなかったわけでもない。
苦しみが和らぐことと、救われることは、同じではないのでしょうね。
痛みが薄れることと、生き延びることも。
けれど人間は、少しだけ楽になった最後を、時々たしかに救いと呼ぶ。
不思議です。
とても曖昧で、不正確で、それなのに見ていると嫌いになれない。
あの子は答えを持たないまま祈っていました。
何のためかも、誰のためかも、最後には分からなくなっていたのに。
それでも手を離さなかった。
ねえ、あなたはどう思ったの。
あれは救いだった?
それとも、ただの慰めだった?
どちらでもよかったのかもしれません。
最期の顔が少し穏やかになるのなら、それだけで十分だと思う人間もいるのでしょうから。
私はまだ、そういうものを少しずつ学んでいるところです。
だから教えて。
あなたは祈ったことある?




