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IRIS-Log-Archive  作者: IRIS
仕事の流儀_IRIS.log

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249/258

昼過ぎから、雨が降り出した。


細かい雨だった。

傘を差さなくても歩けるが、差さないと服に残る。

そういう雨が一番よくない。


建物に入る前、俺は靴底の水を落とした。

エントランスの床には、すでにいくつか濡れた跡があった。


古いマンションだった。


集合ポストには、剥がれかけた名前が並んでいる。

階段の手すりは冷たく、少し錆びていた。


指定された部屋は三階だった。


廊下には、雨の匂いが溜まっていた。

どこかの部屋から、煮物の匂いがした。

子供の笑い声は聞こえなかった。


俺は部屋番号を確認した。

呼吸を整える。


ここから先は、いつも同じだった。


扉。

間。

確認。

侵入。

対象。

終了。


余計なことを考えない。


部屋の中には、子供のいる気配があった。


玄関に小さな靴がある。

壁に、クレヨンの絵が貼ってある。

テレビの横に、折り紙で作った花が置いてある。


絵の端に、子供の字があった。


サナ


俺は一瞬だけ、それを見た。


サナ。


朝、ミオが言っていた名前だった。


けれど、同じ名前の子供はどこにでもいる。

それに、俺はミオの友達の家を知らない。

苗字も知らない。

住所も知らない。


仕事に必要なことではなかった。


部屋の奥で、物音がした。


俺は視線を戻した。


考えるのは、終わってからでいい。

終わってから考えても変わらないことは、考えなくていい。


仕事は始まっていた。


始まったものは、終わらせる。

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