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エピローグ
記録を整える時、名称は便利です。
事件。窃盗。犯人。被害。
そうした言葉は、形の曖昧なものを一度静かに並べ替えてくれます。
けれど、人が自分の理解しやすい箱へ入れたものが、そのまま本当に正しいとは限りません。
大きな陰謀に見えるものが、ひどく個人的な執着であることもあります。
くだらなく見えるものが、当人にとっては切実であることもあります。
整って見える朝の下で、世界は簡単に綻びます。
常識は、便利です。
けれど、とても薄い。
あなたは、自分の常識が正しいと思う?




