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IRIS-Log-Archive  作者: IRIS
名探偵シャークの事件簿_IRIS.log

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240/258

高尚な誤り

張り込みまでの間、私は被害の出た家をさらに二軒見て回った。


結論から言えば、どこもよく似ていた。


被害は女性の私室。

窓からの侵入。

高価なものには手をつけない。

そして盗まれるのは、どう考えても換金目的とは思えない品だけ。


二軒目の家では、若い令嬢が泣きそうな顔で「お願いですから父には」と言い、三軒目の未亡人は青白い顔で「これを面白半分に広めたら承知しませんよ」と言った。


私は両者に同じだけ丁寧に頷いた。

事件を扱う者に必要なのは、同情ではなく礼儀だ。もっとも、私は礼儀を十分に備えているつもりでいる。


三軒目の帰り道、ワットソン君が歩調を合わせながら言った。


「シャーク、本当に階級への挑戦だと思っているんですか」


「もちろんです」


「しかし、盗まれているのが盗まれている物ですからね」


「だからこそですよ」


私はステッキを鳴らし、通りを曲がった。


「宝石を盗む者は金を欲しがる。銀器を盗む者は売値を欲しがる。だが、こういう品を選ぶ者は、それそのもの以上の意味を欲しがる」


「意味というか……執着では?」


「執着とは意味の濃縮です」


「妙にそれっぽいことを言いますね」


「それっぽいのではありません。正しいのです」


ワットソン君は肩をすくめた。


「ではお聞きしますが、その高尚ぶった犯人は、なぜ洗いたてばかり狙うんでしょう」


「清潔さへの異様なこだわりでしょうね」


「高尚ですねえ」


「あるいは、使用済みを盗るほど露骨ではないという、本人なりの品性の主張かもしれない」


「それ、余計にどうしようもない感じがしませんか」


私は少しだけ考え、素直に認めた。


「たしかに、どうしようもない」


「でしょう」


「ですが、どうしようもない者ほど、自分をどうしようもなく見せたがらないのです。そこに必ず偽装がある」


ワットソン君は口元を押さえて笑った。


「私は時々、あなたがものすごく賢いのか、妙な方向へだけ全力なのか分からなくなります」


「両立は可能です」


「胸を張って言うことではないでしょう」


その時、通りの向こうから洗濯籠を抱えた女中が出てきた。籠の上には白布が重ねられ、その隙間からレースの端が揺れている。


私は足を止めた。


「なるほど」


「何がです?」


「舞台です」


「はい?」


「犯人は暗闇に忍び込み、秘めたる領域から獲物を奪うのではない。むしろ、その直前から見ている可能性がある」


「洗濯の時点から、ということですか」


「そうです。屋敷の内情に詳しいのか、あるいは周囲を観察しているのか」


「そっちはずいぶんまともな推理ですね」


「私は常にまともです」


「そこは争点でしょう」


私は無視した。

女中が籠を抱えたまま裏口へ消える。あの程度の短い観察でも、犯人には十分だ。洗いたての品がどこへ運ばれ、誰の部屋へ戻されるかを見ていれば、狙いは定められる。


「今夜です」


私は断言した。


「来るなら、今夜。犯人は被害者の羞恥に慣れてしまっている。成功を重ねた犯罪者は、自分の見つからなさを才能だと勘違いする」


「それは聞こえがいいですね」


「実際には、ただ調子に乗っているだけですが」


「その物言い、今夜の犯人にそのまま渡したいですよ」


私は微笑んだ。

調子に乗った人間ほど、捕まる瞬間の顔が面白い。


夜を待つ理由としては、それで十分だった。

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