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エピローグ
熱中する、というのは不思議なことです。
苦しいだけなら、離れればいい。
痛いだけなら、やめればいい。
負けるたびに悔しいのなら、最初から手を伸ばさなければいい。
けれど人は、ときどきそれでもやめません。
勝つためだけではなく。
褒められるためだけでもなく。
その途中にある時間ごと、手放せなくなるのでしょう。
彼らも、そうでした。
ただ走り。
ただ繋ぎ。
ただ前へ出る。
それだけを繰り返し、その先に辿り着いた。
ええ。
それだけのことです。
ですが――
あなたは、熱中したものはある?




