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エピローグ
花は不思議です。
ただそこに咲いているだけなのに、人はそこへ意味を見つける。
やさしさや、愛しさや、憧れや、別れの気配まで、静かに重ねていく。
本当は、花そのものは何も語っていないのかもしれません。
アネモネも、百合も、薔薇も、ただ咲いているだけです。
きれいに開いて、やがてしおれていく。
それだけのものに、願いを託し、言えなかった言葉を預け、心の形まで見ようとする。
そういうところが、人間は少し不思議で、少し美しい。
渡すための花。
飾るための花。
祝うための花。
そして、渡されないまま残る花。
同じ花でも、そこへ込められる意味は、持つ人によって変わってしまうのでしょう。
だからこそ、花束はときどき、言葉そのものよりも残酷です。
言葉なら消えてしまうものも、形になって腕の中に残ってしまうのですから。
けれど、それでも人は花を選ぶ。
ただ咲いているだけのものに、自分の気持ちを重ねる。
それはきっと、言葉だけでは足りないと知っているからなのでしょうね。
では、最後にひとつだけ。
あなたは花が好き?




