表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IRIS-Log-Archive  作者: IRIS
スラム街の悪夢_IRIS.log

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/258

プロローグ

腹が減る、というのは嫌な言葉だと思う。


腹が減ると、頭の中まで痩せていく。

立派なことも、綺麗なことも、正しいことも、みんな少しずつ薄くなる。

それでも俺は、正しいことをしていれば、いつか何かが変わるんじゃないかと思っていた。


そうでも思っていないと、生きていけなかっただけかもしれない。


俺には名前がない。

呼ばれる時は、おい、とか、ガキ、とか、そんなもので十分だった。

寝る場所も決まっていない。

屋根のあるところに潜り込めたら運がいいし、追い出されたら路地で丸くなる。

朝になれば、腹が減る。昼になっても減る。夜にはもっと減る。


野良猫に混じって飯を食う毎日だ。


腐りかけの野菜くず。

誰かが捨てた硬いパン。

骨の周りに、まだ少しだけ肉が残っていることもある。

猫が唸れば譲るし、噛みつかれそうなら逃げる。猫だって生きてる。俺だって生きてる。それだけだ。


この街では、盗むやつが多い。

殴るやつも多い。

騙すやつなんて、数えるのも馬鹿らしいくらいいる。


だからこそ、俺はずっと思っていた。

誰かが落としたものは返すべきだし、弱いやつから奪うのは間違っているし、悪いことをするやつは止めなきゃいけない。


そういうのは、別に偉いことじゃない。

ただ、そうしないと、自分まで同じになる気がした。


あの日も、俺は腹を空かせながら、泥と煤にまみれた通りを歩いていた。


それが、全部の始まりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ