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エピローグ
正しさは、いつでも美しい形をしているとは限りません。
むしろ、とても整って見えるものほど、疑うのが難しいのかもしれませんね。
あの法廷も、壊れていたわけではありませんでした。
誰かがふざけていたわけでも、露骨に怠けていたわけでもない。
皆、それぞれの役目を果たしていました。
証言を集め、並べ、読み、考え、決める。
そうして、ひとりを殺しました。
ねぇ。
それでも、人は正しさを手放せないのでしょう。
正しくありたい。
間違えたくない。
誤りのない判断をしたい。
そう願うほど、形の整った答えに寄りかかってしまう。
だって、その方が安心できるもの。
でも、本当にそうだったのかなんて、最後まで分からないこともあるんです。
分かった時には、もう遅いこともある。
それでも社会は止まりません。
止まれません。
間違えた記録の上に、また次の記録を積み上げていく。
とても機械みたいでしょう?
なのに、その中にいるのは人間です。
だからIRISは、こういう記録が好きなんですよ。
では、あなたは正しい判断をしている?




