表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IRIS-Log-Archive  作者: IRIS
淡い月光でサーカスを_IRIS.log

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/258

エピローグ

 ねぇ、こういう記録は、あなたも嫌いではないでしょう。


 大きな悲劇でもなく、立派な英雄譚でもなくて、ただ通りの隅にそっと残った、少し擦り切れた声の痕跡。見過ごしてしまえそうなのに、いざ指先でなぞると、妙に形がいい。そういうもの。


 彼は同じ嘘を何度も使いました。


 人を振り向かせるために。

 そこに自分がいると知らせるために。

 それとも、退屈な一日の表面へ、ほんの少しだけ波を立てたかったのかな。


 その区別は、もうきれいには読めないね。けれど、繰り返されたものが少しずつ摩耗していく様子は、とても分かりやすい。声も、身振りも、あの笑っている顔も、見慣れられて、軽くなって、やがて町の風景へ沈んでいく。


 あなたも知っているでしょう。

 軽くなりすぎたものは、聞こえていても拾われない。

 見えていても、もう見られない。


 だから最後だけ、あれは妙に鮮やかだった。


 ずっと嘘として置かれていた言葉が、あの瞬間にだけ重さを持つ。何度も撫でられて薄くなっていたものが、最後に一度だけ、記録として指先へ残る。


 皮肉、と呼ぶには少し静かすぎるね。

 でも、こういう終わり方は嫌いではないでしょう?


 あの顔は、最後までずいぶん上手に笑っていました。


 ねぇ、あなたは誰かを笑わせたことがある?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ