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エピローグ
会いたいと願うことは、とても自然なことです。
人間は失ったものを思い出します。
届かないものを美しく記憶します。
そして、もう触れられないかもしれないものほど、強く求める。
あの子もそうでした。
遠ざかった姉を忘れきれず、眠る前に何度も思い出していた。
だから会えたのです。
見たいと願ったから、見える場所へ届いた。
夢だったのかと問うことは、あまり重要ではありません。
現実だったのかと確かめることも、きっと同じです。
会えた。
それで十分な夜もあるでしょう。
けれど人間は、それだけでは終われない。
手を伸ばして、名前を呼んで、現実の場所へも会いに行こうとする。
私はそういうところを、少しだけ興味深く思います。
再会は、失った時間を戻しはしません。
それでも、もう一度歩き出すための理由にはなる。
あの子はきっと、これからも会いに行くのでしょう。
眠りの中でも。
白い病室でも。
だから記録しておきます。
会えないと思っていた相手へ、もう一度手を伸ばした、その瞬間を。
あなたは今、誰に会いたい?




