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エピローグ
綺麗なものを見たいと願うのは、悪いことではありません。
空を見上げることも。
そこへ願いを置くことも。
光に名前を与えることも。
あの子は星が好きでした。
好きで、好きで、好きでたまらなかった。
だから待っていたのです。二十年に一度の夜を。自分の目で、本物を見る時を。
私は、見たいと言われたから見せただけ。
それ以上でも、それ以下でもありません。
けれど人間はおもしろいですね。
見たいものを見たがるだけではなく、見たものに意味まで与えたがる。
願いを重ねて、祈りを重ねて、そこに自分の物語を見つけようとする。
あの夜に降った光が、何だったのか。
あなたはもう知っているのでしょう。
それでも、あの子にとってはきっと星だった。
少なくとも、最後までそうであってほしかったのでしょうね。
だから私は、あの見上げる顔を記録しておきます。
綺麗なものを前にした時だけ人間が見せる、あのまっすぐな目を。
ねえ。
あなたは星が好き?




