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第2章 16話
「僕、カットとフォークとスクリューしか投げられませんよ。」
「十分すぎるだろ。」
「いや、これは・・チャンス?」
千葉ライアンの浜風はいまだ強い。
カニと漁船と野球と息子(北海道ホエールズ)
「ぱーぱー。」
息子が最初に話したのは、かにという言葉だった。
カニ漁船に乗っている俺。
いつからか、息子は降りてきたんじゃないのか。
プロ野球を目指し、北海道出身の俺は中学三年生の末、上京してきた。
中学三年生で130キロを出して、スカウトされた。
そこから半年頑張って、頑張って、頑張って。
辿り着いたのは港だった。
百三十キロを出して、頑張って、彼女もできて。
一年生の夏、俺は、いや、俺達は全国大会に進んだ。
そこから、大学に進み、教職課程に進んだ。
しかし、スポーツの大切さを伝えれるには少しばかり、バランスが良すぎた。
それで、やはりというか、偶然というか、当たり前に港に出たくなった。
ここまで育ててくれた大陸、自然に感謝し、恩返しをして
この孤独から抜け出したい。
そう思って、彼女にも学校にも、学歴も捨てて、また戻ってきた。




