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転生したらスキル無限になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: おーちゃん


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「よし、始めるぞ。瞬きするなよ、外の人。これが本当の鍛冶ってやつだ」


「初めて見る」


「私も初めてです」


 リズの声が、低く、重く、鍛冶場の中に響き渡った。


 彼女が炉を動かすたびに、真っ赤な炎が渦を巻く。


 洞窟の壁をオレンジ色に染め上げていく。


 俺が持ち帰った『雷晶石』は、炉の熱を受けてさらに激しく青白い放電を繰り返していた。


 圧倒される。


 これが本物の鍛冶師か。


 日本にも鍛冶の職人はいる。


 でも見たことはなかった。


 リズはその石を、迷いのない手つきで砕く。


 俺の折れた魔導鋼の剣の破片と一緒に炉の中へと放り込んだ。


「あわわ。私の大切な魔導書も、あんな風に熱せられたら燃えちゃいますね」


 フィンが火の粉を避けながら、感心したようだ。


「静かにして。今は集中しなきゃいけない時よ」


 ライラが珍しく真剣な表情で、リズの横顔を見つめている。


 俺もまた、息を止めそうにして見守っていた。


 炉の中で、かつて俺と一緒に修羅場を潜り抜けてきた剣。


 形を失い、ドロドロに溶け合っていく。


 それは少し寂しい光景だった。


 同時に、新しい命が宿るための声のようにも見えた。


「コウイチ、手を貸せ」


 突然、リズが俺を呼んだ。


 えっ、俺?


「えっ? 俺に何ができるんだ? 鍛冶なんて素人だぞ」


「技術なんていらない。あんたがこの剣に込めてきた『記憶』を、鋼に伝えろ。柄の部分に手を添えて、これまでの旅を思い出せ」


 リズに促される。


 俺は熱気に満ちた作業台の前に立った。


 俺の記憶をか。


 火傷しそうなほど熱い空気が肌を刺すが、俺は戸惑わずに手を伸ばした。


 思い出せ、俺たちの旅を。


 この世界にやってきたあの日。


 シロと出会い、初めて絆を結んだ瞬間。


 ライラの勝気な笑顔、エルザの清らかなしぐさ、フィンの底抜けな明るさ。


 カースとの決戦で、みんなで繋いだ光の流れ。


 そしてこの剣も。


「独りじゃなかった。俺は、この剣と一緒に、みんなに支えられてここまで来たんだ」


 俺がそう念じた瞬間、炉の中から光が溢れ出した。


「いい反応だ! 鋼が喜んでるぞ!」


 リズが巨大な神槌を振り上げた。


 カツーン! カツーン!


 凄まじい衝撃波が鍛冶場を駆け抜ける。


 俺たちの鼓膜を震わせる。


 リズのハンマーが振り下ろされるたびに、鋼の中から不純物が火花となって飛び散る。


 純粋な『絆の結晶』だけが形になっていく。


 彼女の細い腕のどこにそんな力が隠されているのか。


 一振りごとに大地の底から響くような地鳴りがした。


 どうなったのか?


 完成するのか。


「わふん! わふん!」


 シロが尻尾を激しく振り、リズの叩くリズムに合わせて吠えている。


 シロの魂もまた、新しい剣の中に溶け込んでいくのが分かった。


 エルザは静かに目を閉じ、祈りを捧げている。


 その祈りに反応するように、鋼に刻まれた雷晶石の魔力が、青い輝きへと変化していった。


 数時間が経ったのかな


 あるいは数分だったのかな。


 時の感覚が麻痺するほどの濃密な時間の中で、リズが最後の一振りを下ろした。


「完成だ。冷やせ!」


 リズが真っ赤に焼けた剣を、特殊な霊水が満たされた水槽へと叩き込んだ。


 激しい水蒸気が立ち込め、俺たちの視界を真っ白に染め上げる。


 ジュゥゥゥ、という音が収まり、リズが静かにその剣を引き抜いた。


「見ろ。これが、あんたたちの新しい相棒だ」


 霧が晴れた先で、リズが差し出したその剣は、これまでの魔導鋼の剣とは全くの別物だった。


 刀身は透き通るような銀色をしており、その中心には蒼い雷の紋章が脈打つように刻まれている。


「軽い」


 手に取ってみると、驚くほど軽い。


 いや、軽いのではない。


 まるで俺の腕の一部になったかのような感覚だった。


 「空間把握」を起動すると、剣の周囲に、仲間たちの魔力が細い糸のように繋がっているのが見えた。


「名前を付けてやりな。その剣は、もう私の作品じゃない。あんたたちの絆そのものなんだから」


 リズは額の汗を拭い、少しだけ疲れたようだ。


 でも満足そうな笑みを浮かべた。


 俺は剣を高く掲げる。


 洞窟の天井から差し込む光を反射させる。


 銀色の刃が美しく光る。


「名前を決めなコウイチ」


「コウイチの剣です。コウイチが決めるのがいい」


「雷ですからね」


 みんなは俺が決めろと。


 雷か。


 頭に雷のようにピカッと浮かんだ。


「『絆雷きずならい・シロノカミ』。これがこの剣の名前だ」


「わふんっ!!」


 シロが誇らしげに空に向かって吠えた。


「絆雷。良い名前ね。ねえ、コウイチ。その剣があれば、次の四天王なんて敵じゃないわよ」


 ライラが俺の肩を叩き、自信満々に言った。


「リズさんが魂を込めてくださったんですもの。負けるはずがありません」


 エルザも頷き、リズに深々と頭を下げた。


「リズさん、本当にありがとうございました。あなたのハンマー音、一生忘れません」


「ありがとう!」


「感謝する」


「素晴らしいです!」


「ふん。さっさと行けよ。私の仕事は終わったんだ」


 みんなお礼をした。


 リズはそっぽを向く。


 その耳たぶが少しだけ赤くなっているのを、俺は見逃さなかった。


 俺たちは、新しい力を携えて鍛冶場を後にした。


 外に出ると、谷の霧はすっかり晴れている。


 どこまでも続く青空が広がっていた。


「よし、みんな。次は北の氷原だ。そこに待つ四天王を倒して、必ず平和を取り戻そう!」


「おー!!」


 仲間たちの元気な声が、谷に響き渡る。


 俺の腰にある『絆雷』は、まるでお喋りをしているかのように、心地よい微弱な振動を俺に伝えていた。


 今、伝説の武器を手に、仲間と共に次の戦場へと向かう。


 俺たちの手で描きに行くんだ。

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