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「ククク、無駄だと言っているだろう。この世界ごと、闇に沈めてくれるわ!」
カースの声が、地底から響く地鳴りのように祭壇を震わせた。
呪縛の巨人の腕が肥大化し、俺たちを押し潰そうと振り下ろされる。
「みんな、俺のそばへ! 離れるな!」
俺の声に呼応するように、ライラ、エルザ、フィン、そしてシロが俺の周りに円を描いて集まった。
俺は剣を地面に突き立て、心の底から叫んだ。
「魔力譲渡、限界解除! 全員の絆を、俺に預けてくれ!」
その瞬間、俺を起点にして、目も開けられないほどの光が。
ライラの鋭い風が、俺の腕を力強く押し上げる。
エルザの清らかな光が、俺の視界を隅々までクリアにする。
フィンの膨大な知識が、巨人の影にある一瞬の隙を俺に教える。
シロの熱い魂が、俺の心臓をかつてないほど激しくする。
「ぷるるんっ!」
プニさえもが、俺の体全体を包み込み、すべての反動を吸収してくれている。
五つの個性が一つに溶け合い、俺の持つ魔導鋼の剣は、巨大な黄金の光剣へと姿を変えた。
剣が輝いている。
きっと切れるはずだ。
「これが、俺たちが世界を旅して見つけた『絆の五重奏』だ!」
俺は地面を蹴り、宙を舞った。
黄金の光が巨人の影を焼き払い、カースの本体を守る核が剥き出しになる。
「何だと!? 人間の小僧どもが、神にも等しい私の闇を凌駕するというのか!」
カースが不気味に笑い、その胸に手を突き刺した。
「ならば見せてやろう! 命を糧とする禁忌の!」
カースがさらなる絶望を呼び込もうとしたその時、俺の剣が核を捉えた。
「遅いんだよ、カース! 俺たちには、お前を倒した後の約束があるんだ!」
俺の頭をよぎったのは、マリアンヌさんが預かってくれたお酒や、フィンの食べたいケーキ。
そして、みんなで笑いながら帰る宿屋の夕食の匂いだ。
それらが待っているんだ。
だからカースには負けられない。
「おおおおおっ!」
俺は全体重と全信頼を込めて、黄金の剣を突き立てた。
パキィィィン、と空間が割れるような音がして、巨人の核が粉々に砕け散った。
「バ、バカな。絆ごときに、私が」
カースの体が光の粒子となって崩れていく。
祭壇を覆っていた、どす黒い霧が晴れた。
天井の隙間から、本当の朝日が地下深くへと差し込んできた。
「勝った。俺たち、勝ったんだな」
俺は膝から崩れ落ちそうになったが、すぐにライラとエルザが両脇から支えてくれた。
「お疲れ様、コウイチ。最高のリーダーだったわよ」
「はい。世界で一番かっこいい勇者様でしたよ」
ライラが誇らしげに笑い、エルザが優しく微笑んだ。
「わふん!」
シロ。
シロが尻尾を振りながら俺の胸に飛び込んできた。
「あわわわ! コウイチさん、早く帰りましょう! ギルドでステーキが待っています!」
フィンが涙を拭きながら、空のお腹を鳴らした。
俺は朝日を見上げ、深く息を吐いた。
最高の仲間と出会い、世界を救うなんて。
「よし、帰ろう。俺たちの家に」
俺たちはボロボロの体のまま歩いた。
マリアンヌさん、帰りますよ。




