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巨大な石の扉を押し開けると、そこは広大なドーム状の祭壇だった。
中心には、王都の地下を流れる龍脈から魔力を吸い上げている、不気味な男が立っていた。
「あれは!」
「カース」
「四天王とやっとご対面です」
四天王カースだろう。
不気味だな。
痩せこけた体に、狂気に満ちた瞳が輝いている。
「ククク、精神攻撃を跳ね除けるとはな。だが、ここが貴様らの墓場だ」
カースが両手を広げると、足元の魔法陣からどす黒い霧が噴き出した。
その霧はカースの体を取り込み、みるみるうちに巨大な形を作っていく。
高さは十メートルを超え、全身が「影」でできた、恐ろしい「呪縛の巨人」へと姿を変えた。
「巨人に!」
巨人が拳を振り下ろすと、祭壇の床が飴細工のように粉々に砕け散る。
「ライラ、右から合わせろ! 剛力・一閃!」
俺は魔導鋼の剣を抜き、巨人の足首を狙って鋭く踏み込んだ。
「切れない!」
だが、手応えが全くない。
剣は煙を斬るように虚しく空を切り、逆に巨人の負のエネルギーが腕を伝って侵食してきた。
「嘘。私の剣が通り抜けるなんて!」
ライラの神速の連撃さえも、巨人の影の体には傷一つ付けられない。
さらに、巨人が吐き出す息に触れた周囲の柱が、一瞬でボロボロに腐敗していく。
「聖なる光よ、守りたまえ!」
エルザが必死に防御障壁を張る。
巨人の放つ圧倒的な暴力の前に、光の壁がヒビ割れていく。
「あわわわ! 私の魔法が、届く前に影に食べられちゃいますー!」
フィンが魔導書を必死にめくる。
ページまで黒く染まり始めていた。
みんなの攻撃が通用しない。
「終わりだ。絆などという不確かな力、我が闇で塗り潰してくれる」
巨人が大きく口を開け、全てを飲み込む闇の波動を放とうとした。
その時、俺の胸の奥で、カチリと何かが噛み合う音がした。
それは、これまでに出会った人たちの笑顔や、仲間たちとのバカげた会話の記憶。
「不確かじゃない。俺たちが積み上げてきた時間は、何よりも本物だ!」
やはり強い。
どの相手よりも強い。
決して負けないぞ。
俺が叫ぶと、胸の奥の「絆の共鳴」が、これまでにない黄金の輝きを放ち始めた。
その光は俺の体から溢れ出し、エルザやライラ、フィン、そしてシロへと繋がっていく。
「体が、熱い。魔力が勝手に流れ込んでくるわ!」
ライラの剣が黄金色に燃え上がる。
巨人の影を切り裂ける実体へと変えていく。
「フィンの本も見て! 黒いシミが消えていきます!」
俺たちの絆の輝きが、カースの呪いを力技で中和し始めたんだ。
チャンスはある。
絶対に勝てないことはない。
必ず弱点はある。
そう自分に言い聞かせた。
ここまで来れたのだから、カースにも通じるはずだ。
俺は黄金の光を纏った剣を、巨人の中心部へ向けて真っ直ぐに構えた。




