表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: おーちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/65

57

 ライラやヴォルグたちが死霊騎士団を食い止めてくれている間に、俺たちはさらに奥へと急いだ。


 祭壇へと続く一本道の通路に入った瞬間、急に辺りの空気が変わった。


 視界がドロリと濁り、松明の明かりが届かないほど深い闇が俺を包み込む。


「コウイチさん? ライラさん? みんな、どこだ!」


 さっきまで隣にいたはずの仲間の気配が、嘘みたいに消えてしまった?


 ここは?


 なにか変な感じ。


 空間把握を使おうとしても、霧がかかったように何も読み取ることができない。


「無駄だ。そこは絶望のおりお前の心の影だ」


 頭の中に、ねっとりとした不気味な声が響いた。


「お前は、何者でもない。ただの使い捨ての歯車だ」


 気づくと、俺は冷たいオフィスビルの中に立っていた。


 鳴り止まない電話の音、山積みの書類、そして上司の罵声。


「またミスか! お前みたいな無能、代わりはいくらでもいるんだよ!」


「すみません、すみません」


 ブラック企業時代の俺が、力なく謝り続けている。


 ああ、そうだ。俺は、誰からも必要とされていなかった。


 毎日終電で帰り、コンビニの弁当を食べ、誰とも会話せずに眠るだけの人生。


「異世界で英雄の真似事か? 滑稽だな。お前の本質は、この薄暗い部屋がお似合いの社畜なのだよ」


 カースの声が、俺の心の傷口をえぐる。


 俺の体が、どんどん重くなっていく。


 足元から黒い影が這い上がり、俺を引きずり込もうとしていた。


「俺は、独りだ。この力も、きっといつか消えて」


 俺が膝をつき、闇に飲み込まれそうになったその時だった。


「わふん!!」


 鼓膜を震わせるような、力強い咆哮が闇を切り裂いた。


「シロ?」


 顔を上げると、そこには真っ白な毛並みを輝かせたシロが立っていた。


 シロは俺の影を蹴散らし、必死に俺の顔を舐めてくる。


 ザラリとした舌の感触。


 それは、紛れもない現実の温度だった。


「コウイチさん! 惑わされないでください! 私たちはここにいます!」


 上空から、清らかな光の柱が降り注いだ。


 エルザの祈りの魔法だ。


 闇の霧が晴れていき、そこには涙を浮かべながらも必死に杖を振るエルザの姿があった。


「コウイチさん、あなたは私たちの光なんです! 私を救ってくれた、大切な人なんです!」


「あわわわ! コウイチさん、起きてください! お祝いのケーキを食べるって約束したじゃないですか!」


 フィンの泣きそうな声も聞こえてくる。


 冷たいオフィスが崩れ去り、祭壇の冷たい石畳が戻ってきた。


 俺は自分の胸に手を当てた。


 そこには、マリアンヌさんにもらった勲章があり、仲間たちの温かい絆が脈打っている。


 幻覚を見ていたのか。


 危ないところだった。


 自分の弱さが出たけど、みんなに救われたんだ。


 一人だったら幻覚のまま俺は死んでいたと実感する。


「そうだな。俺はもう、独りじゃない」


 俺は立ち上がり、剣を強く握りしめた。


「カース。お前の言う通り、俺は元々は何者でもなかったかもしれない」


「でも今は違う。俺には帰る場所がある。信じてくれる家族がいるんだ!」


 俺の体から黄金の魔力が溢れ出し、通路を満たしていた呪いを一気に焼き払った。


 『スキル:不屈の絆』が発動し、精神攻撃を完全に遮断する。


「シロ、エルザ、フィン。助かったよ。もう大丈夫だ」


 俺が微笑むと、みんなが安堵の表情を見せた。


「全く心配かけないでよね。ほら、最後の大扉が見えたわよ!」


 いつのまにか死霊騎士を片付けて追いついてきたライラが、俺の背中をバチンと叩いた。


 みんな集まった。


 暗闇の奥、巨大な祭壇の扉が不気味に口を開けている。


 カース。お前の卑怯な攻撃は、もう俺たちには通じない。


 俺たちは一歩も引かずに、真の決戦の場へと踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ