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ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: おーちゃん


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35話

 バルカスさんとの厳しい修行を終えて、俺たちの体はボロボロだった。


 筋肉痛で一歩歩くのもやっとの有様だ。


「厳しいのは嬉しいが、厳し過ぎる」


「もう一歩も動けないわ」


 ライラが地面に大の字になって倒れ込んだ。


「ライラがこうなるのは珍しいな」


「私も魔力が空っぽです」


「エルザもだいぶ魔法を使ったもんな」


 エルザも杖を支えにして、なんとか立っている状態だ。


「あわわわ顔を洗おうとして、小川に流されそうになりました」


「風邪引くぞ、着替えないと」


 フィンにいたっては、服がびしょ濡れでガタガタ震えている。


 そんな俺たちを見て、バルカスさんがニヤリと笑った。


「お主ら、いい根性をしておる。ご褒美を授けよう」


「ご褒美?」


「どんなのだろう?」


「寒いです」


 そう言って指差した先には、岩陰から立ち上る真っ白な湯気があった。


「まさか温泉ですか!?」


 温泉だぞ。


 俺が叫ぶと、バルカスさんは満足そうに頷いた。


「清浄の谷の隠し湯じゃ。体の傷も心の汚れも、全部洗い流してくれるぞ」


 俺たちは歓喜の声を上げて、温泉へと向かった。


 もちろん、男と女は岩を隔てて別々だ。


「わあああああ、寒い寒い、入浴する!」


「はぁぁ生き返る」


 俺は首までどっぷりと温かいお湯に浸かった。


 シロも俺の隣で、気持ちよさそうに顔だけ出している。


「わふぅ……」


 こんなにゆっくりお湯に浸かるなんて、最高である。


 お湯がピリピリと体に染み込んで、疲れが溶け出していく感覚。


 岩の向こう側からは、女子たちの賑やかな声が聞こえてきた。


「すごーい! お肌がスベスベになるわ!」


 ライラの弾んだ声が響く。


「本当ですね。魔法の薬草風呂みたいに力が湧いてきます」


 エルザも楽しそうだ。


「あわわわ! コウイチさーん! 石鹸だと思ったら、プニを掴んで洗ってしまいましたー!」


「ぷるるんっ!」


 フィンの叫び声と、プニの怒ったような音が聞こえて、俺は思わず吹き出した。


 間違えたらしい。


 でもみんな疲れが取れているようだ。


「おいおい、プニで体は洗えないだろ」


「ひどいです! プニが急にヌルヌル動くからですよ!」


 そんなやり取りをしているうちに、心の中の不安が消えていくのを感じた。


 四天王カースとの戦いを前に、俺たちは本当の休息を手に入れたんだ。


 温泉を出た後、俺たちはバルカスさんに深く頭を下げた。


「とてもいい湯でした」


「最高だったぞ」


「本当にお世話になりました。必ず勝って報告に来ます」


「うむ。死ぬでないぞ、若者よ」


 伝説の老冒険者に見送られる。


 俺たちは再び王都へと向かう馬車に乗った。


 王都の街並みが見えてくると、懐かしい気持ちになった。


 たった数日いなかっただけなのに、随分と長い旅をしていた気分だ。


 俺たちはそのまま真っ直ぐ、冒険者ギルドへと向かうとする。


 とりあえず全部を話そう。


 ギルドの中は相変わらずの活気だったが、俺たちの姿を見るなり静まり返った。


「おい、あいつらだ。清浄の谷から帰ってきたのか」


「なんだか、雰囲気が変わってないか?」


 冒険者たちの視線があついな。


 前よりもずっと尊敬に近いものに変わっている。


 とにかくマリアンヌさんに会おう。


 二階のギルド長室へ入ると、マリアンヌさんが机に足を乗せて待っていた。


 大胆だな。でもちょっとエロいか。


「帰って来ました。バルカスさんに会いましたが」


「いい顔になったじゃない。バルカスのジジイにこっぴどく絞られたみたいね」


「はい。おかげで、カースの倒し方が見えてきました」


 俺が報告すると、マリアンヌさんは満足そうに椅子から立ち上がった。


「いいわ。でも、決戦はまだ先だ」


「えっ? すぐに行かないんですか?」


 ライラが驚いて聞き返した。


「焦るんじゃないわよ。今、王宮の魔導師たちが祭壇の守りを固めている最中なの」


「奴らが動き出すタイミングを、ギルドが正確に掴むまで待機して」


 マリアンヌさんは俺たちの肩に手を置いた。


 まだ先になりそうだな。


 そのほうが俺も都合はいい。


「今はその高まった力を、じっくりと体に馴染ませなさい」


「わかりました。その時が来るまで、準備を続けます」


 俺たちはギルド長室を後にした。


「よし、今夜は宿屋で豪華なご飯を食べて、ぐっすり寝よう!」


 俺が提案すると、みんながパッと顔を明るくした。


「賛成! 私、ステーキをおかわりするわ!」


「私はふわふわのオムレツが食べたいです!」


「私は、あわわ! 食べ物のこと考えてたら、ギルドの階段で足がもつれました!」


 フィンが盛大に転がって、階段の下まで転がっていった。


「フィン、最後までそれかよ」


 俺たちは笑いながら、彼女を助けに駆け下りた。


 カースとの決戦は刻一刻と近づいている。


 でも、今の俺たちなら大丈夫だ。


 絆は最高潮に高まってきている。


 俺たちは明日への力を養うためにご飯にするとなった。

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