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ブラック企業の社畜だった俺は、転生したらスキル無限獲得になった ~底辺人生からチートになって、最強に成り上がる~  作者: おーちゃん


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33話

 俺たちは王都の北門を抜けて、馬車に揺られていた。


 目的地は、マリアンヌさんが教えてくれた「清浄の谷」だ。


 特訓をするために行く。


 決して遊びに谷に行くのではない。


 そこは、聖なる力に満ちていて、魔王軍の呪いを跳ね返す修行に最適らしい。


「特訓かあ。学生時代の部活を思い出すなあ」


 俺が窓の外を眺めながら呟いた。


「ブカツ? それもコウイチの世界の言葉ね」


 ライラが隣で剣の手入れをしながら聞いてきた。


「ああ。みんなで一つの目標に向かって汗を流すんだ」


「素敵ですね! 私たちにぴったりです!」


 エルザがニコニコしながら、薬草の入った袋を整理している。


 みんな特訓とは言っても笑顔もあるのは大事だ。


 希望がなくなっては意味がないからな。


 どこまで行くかなと思っていた。


 数時間後、馬車が止まった。


 目の前には、エメラルドグリーンに輝く滝と、深い谷が広がっていた。


 空気が驚くほど澄んでいる。


 深呼吸をするだけで、体の奥の魔力が洗われるような感覚だ。


 聖なるものを感じるな。


「わあ。ここが清浄の谷。空気が美味しいです!」


 フィンが馬車から勢いよく飛び降りた。


「あだだだっ! 着地の衝撃で足首が、足首がああ!」


 フィンは着地に失敗して、草むらで転がっていた。


「もう、フィンはいつも通りね。さあ、始めるわよ!」


 ライラがやる気満々で剣を抜いた。


 今回の特訓の目的は二つだ。


 一つは、俺の新しいスキル『真理の盾』を、みんなと共有すること。


 もう一つは、それぞれの得意技をさらに磨き上げることだ。


 果たして上手くいくかな。


 そもそもみんなで訓練したことはないので、どうなるか俺も想像は難しい。


 まずは盾からだな。


「よし、まずは俺の盾を広げる。みんな、俺の周りに集まってくれ」


 俺が集中すると、足元から黄金色の光が円状に広がった。


 図書館の精霊リステリアから授かった、聖なる知識の輝きだ。


 「すごい。体がポカポカして、悪いものが全部消えていくみたい」


 エルザが自分の手を見つめて驚いている。


「この光の中で、それぞれの技を放ってみてくれ」


 俺が言うと、ライラが一番に動いた。


「いくわよ! 疾風斬・しっぷうざん・きわみ!」


 ライラの剣が光を帯びて、目にも止まらぬ速さで大岩を切り裂いた。


 いつも以上のキレだ。


「コウイチの盾の中だと、魔力のロスが全くないわ!」


「本当です! 私の回復魔法も、いつもより遠くまで届きます!」


 エルザが杖を振ると、優しい光が谷全体を包み込んだ。


 魔法も効果が上がるのは確実だな。


「私も! 私も負けてられません!」


 フィンがブレスレットを掲げた。


「古代の英知よ、私の記憶を力に変えて! 爆裂知識弾ナレッジ・ボム!」


 フィンの放った光の弾が、空中で派手に弾けた。


「今の、ただの光る玉じゃないか?」


「ひどいです! 敵の目を眩ませる立派な援護魔法ですよ!」


 フィンが頬を膨らませて抗議した。


 後方支援は重要だろう。


 チームを組んでやるからには、役割はある。


 フィンは最前線で戦うよりも、支援げ向いている。


 俺たちは笑いながら、何度も何度も繰り返し練習した。


 特訓は夜まで続いた。


 この特訓は意味がある。


 自分が強くなれば、仲間を救える。


 みんなが笑っていられる。


 そう思うと、疲れなんて少しも感じなかった。


「わふん!」


 シロも谷を走り回って、野生の感覚を取り戻しているみたいだ。


 プニは滝の水を浴びて、いつもより透き通って見えた。


 焚き火を囲んで、俺たちは夕食を食べた。


 今日はエルザ特製のシチューだ。


「カースは強いと思う。でも、今の俺たちなら絶対に勝てる」


 俺が言うと、みんなが真剣な顔で頷いた。


「ええ。私たちの絆を腐った四天王に見せてやりましょう」


 ライラが火を見つめて言った。


「知識と魔法と、そして勇気。全部合わせてぶつけましょう!」


 フィンが拳を握りしめた。


 特訓はあと数日続く。


 明日からは、さらに厳しい修行が待っているはずだ。


 でも、俺は楽しみで仕方がない。


 俺たちの限界は、まだ先にある。


 夜空に輝く星を見上げながら、俺は新しい力を自分の物にしていく。


 待ってろよ、カース。


 俺たちの「絆」は、お前の呪いよりもずっと強い。

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