31話
ようやく宿屋「白銀の竪琴亭」に戻ってきた。
朝帰りの俺たちは、みんなボロボロで泥だらけだ。
でも、その顔にはやり遂げたっていう充実感があった。
「みんな頑張った」
「ふぁああ、眠い。でも、まずはスキルを確認しないとね」
俺はリビングのソファに深く腰掛けた。
「スキルをまた獲得したのか」
「そうですよ! コウイチさん、新しいスキルを見せてください!」
フィンが目をキラキラさせて身を乗り出してきた。
精霊からのスキルは図書館で確認しているけど、みんなにも見せよう。
俺は心の中で念じて、自分のステータス画面を空中に映し出した。
青白い光のパネルが浮かび上がり、最新の情報が表示される。
【ステータス】
名前:コウイチ
年齢:20歳
レベル:35
スキル:
* 『絆結び(コネクション)』Lv.MAX
* 『剛力』(ライラ):筋肉モリモリ、力持ち。
* 『俊足』(ライラ):めちゃくちゃ速く走れる。
* 『火魔法(初級)』(エルザ):指先から火が出る。
* 『魔力感知』(エルザ):魔物の気配がわかる。
* 『液体化』(プニ):体を水みたいにできる。
* 『毒耐性』(プニ):毒を食べても平気。
* 『嗅覚強化』(シロ):鼻がすごく良くなる。
* 『夜目』(シロ):暗いところでも見える。
* 『胞子散布』(マッシュモン):眠り薬や回復の粉をまく。
* 『自然同化』(マッシュモン):景色に隠れる。
* 『魔力自動回復』(ダンジョンコア):魔力が勝手にたまる。
* 『空間把握』(ダンジョンコア):周りの形が全部わかる。
* 『魔力譲渡』(ダンジョンコア):仲間に魔力をあげる。
* 『古代文字解読』(フィン):昔の難しい字が読める。
* 『罠感知』(フィン):罠があるのがわかる(でも本人はかかる)。
* 『魔力節約』(フィン):魔法をちょっとの魔力で使える。
複合スキル:
* 『剛炎一閃』:火のついたパンチを打つ。
* 『絆の共鳴』:みんなの力を合わせてパワーアップする。
* 『光輝・絆連斬』:光り輝く剣で切り刻む。
【追加スキル】
『真理の盾』:精霊リステリアとの絆。
(魔王軍の『呪い』『腐敗』『精神汚染』を完全に遮断する聖域を作る)
『古代の叡智』:
(魔法の詠唱速度が上がり、消費魔力が半分になる)
「すごい。これがあればカースの毒霧も怖くないわ!」
ライラが画面を指差して声を上げた。
「詠唱速度アップまで! コウイチさん、どんどん人間離れしていきますね」
エルザが感心したように、お茶を淹れながら言った。
人間離れか、自分ではわからないけどな。
「当然です! 私たちの絆が深まった証拠ですから!」
フィンが得意げに胸を張る。
その瞬間、持っていた羽根ペンをインク瓶の中に落とした。
「あわわわ! 私のメモが真っ黒に!」
俺たちは笑いながら、朝のティータイムを楽しんだ。
日本では、徹夜明けは死んだ魚のような目をして、ただ泥のように眠るだけだった。
でも今は、戦った後の達成感を仲間と分かち合える。
「さて、一眠りするか」
「うん、戦って疲れもあるから」
「ワンワン!」
「どうしたシロ? シロが外の方に向かって吠えている」
「何かおかしいぞ外が?」
ライラがそう言った時、外の通りが急に騒がしくなった。
窓から下を覗くと、たくさんの人々が図書館の方を指差して騒いでいる。
「大変だ! 昨夜、大図書館に巨大な魔法陣が出たらしいぞ!」
「魔族の死体もあがったって噂だ! 誰が倒したんだ?」
街の人たちの話し声が、二階の部屋まで聞こえてくる。
大きな音をさせてしまったから、聞こえて当然か。
「あっという間に噂が広がってるわね。さすが王都だわ」
ライラが苦笑いしながら窓を閉めた。
「私たちの正体がバレたら、またギルドで囲まれちゃいますね」
エルザが少し困ったように微笑んだ。
コンコン、と部屋のドアが激しく叩かれた。
「コウイチ様! ギルドからの使いの者です! 至急、ギルド長がお呼びです!」
ドアの向こうから、焦ったような声が聞こえる。
結局は、俺たちって伝わったみたい。
「やっぱり、ゆっくり寝かせてはくれないみたいだな」
俺は苦笑いして、仲間たちと顔を見合わせた。
「行きましょう! 私たちの英雄伝説、第ニ章の始まりです!」
フィンが勢いよく立ち上がり、そのまま椅子に足をぶつけて転んだ。
「あいたたた! でも心は折れてません!」
俺たちは再び、王都の街へと繰り出した。
広場では吟遊詩人が、さっそく「光り輝く剣士と精霊の戦い」について歌い始めている。
これって俺のことかな。
ちょっと恥ずかしい。
「コウイチ、あんた有名人ね」
「よせよ、恥ずかしいだろ」
俺はフードを深く被り、ギルドへの道を急いだ。
四天王カースとの決戦は、いつ始まってもおかしくないな。




